〈楽しいMAZZEL〉と音楽史の継承を表現したファンクソング“Get Up And Dance”
3曲目の“Get Up And Dance”は、アルバムリリースの2週間前に発表されたリードシングル。華やかなエンターテインメント性、つまり〈楽しいMAZZEL〉を思いっきり堪能できる曲だ。
イントロを聴いた瞬間、世代的にドンピシャなので思わず笑顔になってしまった。なぜなら、スチャダラパー“GET UP AND DANCE”(1994年)を大胆にサンプリングしているから。
同曲は、フジテレビ系の子ども番組「ポンキッキーズ」のオープニング“Welcome to Ponkickies”に使用されていた。〈パッパラ〉という能天気すぎるコーラスと明るいハンドクラップは、一度聴いたら忘れられないほどのインパクトがある。「ポンキッキーズ」自体、新旧の音楽の楽しさを子どもたちに伝えた重要な番組で、私も例に漏れずあの番組からいろいろな音楽を教わった。「ポンキッキーズ」のスタートは1993年。それから33年後のいま、リアルタイム世代ではない20代の8人が引き継いで歌う〈パッパラ〉コーラスは、音楽の楽しさを存分に伝えるものになっている。
また、この〈パッパラ〉自体がサンプリングなのも重要な点だ。元ネタはアメリカのファンクバンド、フリーダムが1979年にリリースした同名曲。なのでMAZZELの“Get Up And Dance”には、1970年代のファンクから1990年代のヒップホップ、そして2020年代のダンス&ボーカルグループであるMAZZELへと、およそ半世紀の音楽の歴史を受け継ぎ、更新する意義がある。プロデュースしたSKY-HIとZENには、きっとそんな意図もあっただろう。ベースが牽引するファンキーなグルーヴは現代的な洗練を経ており、RYUKIやSEITO、TAKUTOらの低音を利かせたラップとKAIRYUの伸びやかで技巧的な歌の共存は1970年代にも1990年代にもなかった新しい表現だ。
〈遊ぶんだ もっともっと自由に〉〈暴れよう もっともっと自由に〉といった歌詞に表れたこの曲の〈解放的に、自由に楽しもう〉というメッセージは、“BANQUET BANG”に通じている。しかし“Get Up And Dance”は、“BANQUET BANG”のように享楽的というよりももっとカラフルで明るく、高揚感に満ち、パーティ(宴)の光景が浮かぶ陽気なサウンドだ。音楽の楽しさ、それにノってダンスする喜びをまっすぐに伝えており、アルバムの〈HAPPYを届ける〉という面がここに凝縮されている。
より上を目指し、新時代を築いていく8人の姿勢
トラック4“T.O.P”はZEN、LOAR、SKY-HIが手がけたクールなダンスナンバー。跳ねるようにうねるベースがバウンシーで、8人がどんなダンスで魅せてくれるのか期待が膨らむ。中盤、TAKUTO、RANが交互に畳みかけるラップが攻め攻めで、超アグレッシブなフロウに痺れた。
歌われるのは、後述の“MAKERZ”に通じるセルフボースティング。トップに君臨する自分たちの力強さを誇示しているわけだが、〈実際まだまだ道半ばだ〉〈ここはまだ通過点〉といった部分では彼らが常々語っている、〈もっと上を目指す〉という姿勢を打ち出している。次曲“King Kila Game”への流れも素晴らしい。
7曲目の“MAKERZ”は、また打って変わってダークかつヘビーで激しい。インダストリアルな金属音が鳴り響いているし、激しく歪んだ電子音とギターが全編を覆っている。8人のボーカルにも、かなりノイジーな処理が施されている。作詞作曲はSAS、LOAR、MY FIRST STORYのSho、SEITO、そしてSKY-HIという布陣だ。
まさに〈かっこいいMAZZEL〉をギュッと閉じ込めたような曲で、歌詞もまたMAZZELらしい。〈錆びついた時代を/塗り替える今You and I〉〈型にハマる気もない/だからずっと磨いてきたStance〉〈誰も止まらないぜ/あるがままMyself/痛みごと(eyy)/Shout it louder(eyy)/何度倒れようが足掻いてやるさ〉など、自分であること、自身を曲げないこと、時流や他人に流されないこと、傷ついても立ち止まらないこと、そうすることによって新しい時代を築いていくことが歌われている。〈We gonna make the change〉というラインがあるように、8人が〈新しい時代を築く者=MAKERZ〉だと明言しているのだ。