写真提供:東京舞台芸術祭実行委員会
撮影:冨田了平
東京都美術館が開館100周年! 記念演奏会を5月1、2日に開催
JR上野駅を下車、いわゆる公園口をでる。ひらけた道にむかうと、左手に東京文化会館、右手に西洋美術館。すこし遠くに上野動物園。そちらむけて歩いていくと、右手に東京都美術館がある。
1926年(大正15年)、列島初の公立美術館が開館。東京府美術館。いまの東京都美術館である。5月1日、この美術館が100周年を迎える。これを記念して、4月28日(火)~5月6日(水・祝)の期間、〈東京都美術館開館100周年記念ウィーク〉が開催される。いうまでもない、大型連休。
美術館は〈アンドリュー・ワイエス展〉を開催、〈円が連なり「縁」や「繁栄」を意味し、お祝いの文様として知られる七宝文様をモティーフに、色とりどりの花でエントランスを彩る〉という〈アニバーサリー・ガーデン〉も出現する。
近年、美術館――美術館というよりミュージアム、だろうか――は視覚的な作品のみならず、大小のコンサートがおこなわれ、ひとつの感覚にとどまらぬ、もっとひろく多様な感覚を刺激する場となってきている。3月から4月にかけて〈東京・春・音楽祭〉もあり、ことしは、それにつづく時期に〈100周年記念ウィーク〉となるわけだ。
ここでクローズアップしたいのは〈東京都美術館開館100周年記念 とおくのファンファーレ〉演奏会。コンセプト・演出・作曲はとくさしけんご。出演は山下純平(コンサートマスター/トロンボーン)他15名のトロンボーン奏者たち。演奏会? うーん、ちょっと違うのかもしれないけど、まあ、いいや。
とくさしけんご、ご存じだろうか。いまはある程度認知度があがっている〈サウナ音楽〉の代表的作曲家であり、「サ道」その他のドラマやゲーム音楽の方面でも知られている。いま手元にあるのは『MUSIC FOR SAUNA TWILIGHT』(2025)で、〈サウナアルバム第9弾〉。帯にはちいさく〈夕暮れの、大休憩〉。1曲が15分程度の楽曲が4つ収められるが、ストーリーを紡ぐことはせず、電子音とサンプリング音の霧のなか、やわらかい音が、メロディとして記憶されるかされないかといったあたりのお伽をほのめかす。いまや世に環境音楽的なるものは数えきれないほどあるが、つくりだす音・音楽を、もうすこし相対化して、〈サウナ音楽〉へ導いてゆく。
〈とおくのファンファーレ〉は、何人もの演奏家が空間的に配置される。どちらかというと晴れがましい場での音楽でもある。〈サウナ音楽〉のシリーズとは違う。それでいて、ロングトーンを多用し、あっちで、こっちで、と発音され、かさなり、とおりすぎるやわらかいトロンボーンのひびきが、そこのいるひとたちを包む。ひとは聴きいってもいいし、通り過ぎてもいい。すこしずつ動いてもいい。音の像は変わってゆく。
3年前、2023年10月、池袋のメトロポリタンプラザビル自由通路と東京芸術劇場アトリウムとで、この作曲家/音楽家たちで〈とおくのアンサンブル〉が演奏されている。わたしはたまたま赴く機会があったのだが、ふつうはただの広がり、スペースで演奏がおこなわれることで、そこでしか生まれないひびきが体験できた。16-17世紀ヴェネツィアの音楽家が教会のなかでひびかせたものが、ここでは、現代の通路のなか、あらたなひと、あらたな聴きかた、あらたな環境として、生まれる。
東京都美術館では、どこにどんなふうに? たぶん、そのときに行ってみないとわからない。それが、いま、わたしはいちばんおもしろい。たとえ楽曲はちゃんと準備されていても、そこでしか体感・体験できないことが。
美術館や博物館についての収益が云々というきな臭いはなしが起きているなか、こうした催しに足をはこびながら、みること・きくこと、何かにふれることを考えてみられたらいいのだけれど。
LIVE INFORMATION
東京都美術館開館100周年記念
「とおくのファンファーレ」
2026年5月1日(金)東京都美術館(東京・上野公園)
開演:9:30/17:40
2026年5月2日(土)東京都美術館(東京・上野公園)
開演:14:30
「とおくのアンサンブル」
2026年5月1日(金)東京都美術館(東京・上野公園)
開演:15:00
2026年5月2日(土)東京都美術館(東京・上野公園)
開演:16:30
コンセプト・演出・作曲:とくさしけんご
出演:山下純平(コンサートマスター/トロンボーン)ほか15名
無料/予約不要
https://www.tobikan.jp/100th/