フルリメイク第2弾“REBIRTH”、はやくも色彩豊かなオーケストラで奏でられる

 RPG史上類を見ない傑作となった「FINAL FANTASY VII」。今年の2月に発売されたフルリメイク3部作の第2弾「FINAL FANTASY VII REBIRTH」のオーケストラアレンジアルバムが早くもリリースされる。

 演奏を担当するのは栗田博文指揮東京フィルハーモニー交響楽団。劇伴はシンフォニックでオーケストラとの親和性は元々高いが、新たなオーケストレーターによる〈彩色〉が加わることで、さらに一段と管弦楽の魅力を体感できる。

『FINAL FANTASY VII REBIRTH Orchestral Arrangement Album』 スクウェア・エニックス(2024)

 Tr.1“The Unknown Journey Continues”、Tr.2“FFVII REBIRTH Opening”、Tr.3“FFVIIメインテーマ Battle Edit”のオーケストレーションを担当したのは島翔太朗。前作“REMAKE”でも劇伴の作編曲も担当しており、続投した今作“REBIRTH”とそのオケアレンジに携わっている。〈前作からの緊迫感〉と〈新たな冒険の高揚感〉が両立する冒頭3トラックでこのアルバムの成功を約束している。

 Tr.4“クイーンズ・ブラッド”を担当したのは作曲・鈴木光人とゲーム実装楽曲でもタッグを組んでいるとくさしけんご。カードゲームシーンの音楽であるオリジナル劇伴がインストジャズ調であったのに対し、アッパーで疾走感のあるシンフォニックジャズアレンジに仕上がっている。トランペットソロの映え方がニクい。

 Tr.5“ヘリガンナーカスタム”、Tr.7“ウェルカム・トゥ・ゴールドソーサー”は長年FFシリーズ楽曲制作にも携わっている古川亮。特にTr.7では、劇伴より祝祭感が加わった前奏が実に聴き応えがある。

 Tr.6“星降る峡谷 -コスモキャニオン-”は中川峻彰が担当。吹奏楽アンサンブル楽曲などを多数手掛けている氏だからか、全体的に管楽のカラーが強い印象のアレンジでエキゾチックさを強調しているように感じた。中間部のピアノソロと小編成アンサンブルが泣かせる。

 Tr.9“J-E-N-O-V-A LIFE 交響曲”はゲーム「オクトパストラベラー」のオーケストラアレンジでも多彩なアレンジを披露した森悠也が手がける。劇中の佳境とも言える悲劇的なボス戦楽曲をピアノと声楽も含めて鮮やかに描いている。

 そしてTr.8“LOVELESS 組曲 ー女神の贈り物ー”、Tr.10“リバース=セフィロス 交響曲”は〈オーケストレーターのオリジネーター〉とも言える宮野幸子が手がける。どちらも複数曲から成る楽曲を紡いでいるが描写性・迫力は他の追随を許さない。まさにこのアルバムのクライマックスを担うに相応しいフィナーレだ。