SOUTH BLOWとnecozeneco、熱狂のリリース・パーティーをレポート!!
東京・八王子で生まれた4人組バンド、necozenecoと、大阪で活動する4ピースのSOUTH BLOW。キャリアも拠点も違うが、グッド・メロディーのギター・ロックは永遠ということで、両者の距離が近づいたのは2017年のこと。近年は府中のライヴハウス、Flightで毎年ツーマン企画を行っているが、この共鳴をカタチにしようと、今年3月にスプリット作品『A NEW DOOR』をリリースした。サブスクでは聴けない、その特別な一枚のリリース・パーティーは下北沢に場所を移し、SHELTERにて開催。4月25日の昼ライヴとしてスタートした。
先行はSOUTH BLOW。ギターを爪弾きながら“ラブソング”を歌い出す碩真也の、想像を超える歌声にギョッとする。太い喉からまっすぐ飛び出す強い声。B5の鉛筆よりも強い〈マッキー太字〉みたいな歌である。necozenecoのミツノマサルはそれを〈歌オバケ〉と評していたが、過剰すぎるものは文字通りオバケとなり、繊細なニュアンスを塗り潰すこともあるかもしれない。そんな諸刃の剣であることを本人も理解しているのだろう。観客ひとりひとりを見つめ、〈ちゃんと伝わってる?〉みたいに目で問いかけていく姿に、伊達に長くやっていないバンドだと納得する。〈俺の歌、凄いだろ?〉という印象が皆無なのも好ましい。
そのうえでスプリット収録の新曲がよかった。開始2曲目に披露された“Process”は不協和音や切迫感を意識的に取り入れた熱いナンバーだが、もうひとつの“芙蓉の花”はバンド史上初めてピアノを取り入れた静的なバラードだ。実際のステージが想像できない仕上がりだったが、この日はバンド・アレンジでプレイ。金城慎のベースが副旋律となってメロディーとの対比を作るアレンジや、2本のギターがオルゴールのように絡む間奏、その直後に4人がせーので爆音を叩き込む展開など、聴きどころがとにかく多い。“芙蓉の花”自体がSOUTH BLOWにとって大きなチャレンジだったと思うが、それをライヴ現場に持ち込むことは、バンドをさらにスケールアップさせたのだろう。静と動の対比はまるでenvyのようだった、と書くのも決して言い過ぎではないと思う。


「実はSHELTERは10年ぶり」と碩が嬉しそうに語る。後半は疾走するギター・ロックを次々と連打していたが、かつてアジカンが立ち、いまは「ぼっち・ざ・ろっく!」の聖地となっているSHELTERで、〈これぞギター・ロック!〉な曲をキメまくるのはたまらない喜びだろう。冷静に見ればパターンは似ている。使うコード、言わんとするメッセージにあまり大差はない。しかしこれが好きなのだ。この形が堪らないのだ。音楽愛というよりまっすぐなバンド愛に溢れたステージ。それを見つめるファンたちも、同じく愛しかない表情をしていた。

続いてのnecozenecoは初期の名曲“初恋”からスタート。〈歌オバケ〉の碩よりは朴訥とした、どちらかと言えば平熱に近いミツノマサルの歌声とメロディーは、もしかするとアコギ弾き語りで作っているのかな、と思えるくらい実はフォーキーだ。時系列をすっ飛ばして書くと、ラスト手前に披露された“東京と”も実にフォーク的な始まり方。等身大の歌声とありのままの日常を見つめる目線が、ミツノの根幹にはあるのだと思う。
ただ、彼の隣で常に渾身のソロみたいなギターを弾いている大月ユウキの存在が、随所にマス・ロック風フレーズを叩き込んでいくリズム隊の存在が、necozenecoの等身大をギチギチのロックへと飛躍させる。エレキ・ギターとはすなわち感情増幅装置。ファズを踏めば日常は爆発する何かに変わる。そういうマジックをここまで正面から信じきっている人たちも珍しいと思わせるくらい、全曲で爆発的なエモーションが溢れ出すのだ。SOUTH BLOWがキャリアもあってか冷静さも持ち合わせているから、necozenecoの激情はいい対比を作る。途中で勢い余って弦を切ってしまったミツノが「SOUTH BLOWは憧れのバンド。スプリット出せるっていうだけで最高」と語っていたのもよかった。


そんな彼らも、やはりスプリット収録の新曲が見せ場であった。白眉はミッドテンポの“シュプレヒコール”で、やはりフォーキーな歌心から始まり、荒井由実“卒業写真”のメロディーも一瞬取り入れつつ、感情増幅装置=ギターの比重がどんどん上がり、シューゲイズ的に視界がホワイトアウトしていく。ひたすらクレッシェンドに向かう展開は、当然ながらライヴハウスのスピーカーを経由すると、とんでもない音量になっていくのだ。
この新曲を経たことでタガが外れたか、ラストの“TINY”ではマイブラ級の音量が鼓膜を襲う。床に転がってギターを弾きまくる大月、膝立ちになり頭をぶん回しながらベースを弾く奥秀雄など、パフォーマンスも完全にメーターを振り切ったもの。この熱量を浴びまくったあとに階段を上がれば、SHELTERの外はまだうららかな春の昼過ぎで、思わず頭がクラクラした。なるほど、ファズを踏めば日常は爆発する。そんなバンドの信念に、こちらもすっかりヤラれてしまったわけである。
SETLIST
■SOUTH BLOW
1. ラブソング
2. Process
3. 春風
4. 芙蓉の花
5. 悲寒桜
6. ユートピア
7. 月の向こう
8. 願い
9. ココロノコトバ
■necozeneco
1. 初恋
2. honest
3. calling
4. 光の中に
5. 渦
6. lost dance
7. シュプレヒコール
8. グッドバイ
9. 東京と
10. ハテノハテ
11. TINY
ENCORE
1. YES
LIVE INFORMATION
SOUTH BLOW × necozeneco “A NEW DOOR” relesase tour

2026年5月23日(土)三重・鈴鹿 ANSWER
2026年6月21日(日)大阪・寝屋川 VINTAGE
2026年8月2日(日)静岡・静岡 UMBER
2026年9月27日(日)栃木・宇都宮 HELLO DOLLY
and more...