SOUTH BLOWとnecozeneco、共鳴する2バンドがスプリット作を語る!!

 2001年に奄美大島出身のメンバーを中心に大阪で組まれたSOUTH BLOWと、2013年に東京・八王子で結成されたnecozeneco。活動拠点もキャリアの長さも異なる2つのバンドがスプリット・ミニ・アルバム『A NEW DOOR』をリリースした。メジャーでの活動歴もあるSOUTH BLOWは、碩真也(ヴォーカル)によるスケール感のある歌と骨太な演奏を重ねたサウンドが求心力を放つ4人組。最新作にあたる2025年のミニ・アルバム『LOVE SONG(S)』では、包容力に溢れた音作りでさまざまな愛を描いていた。そして、地元・八王子に根付くオルタナ~パンクの遺伝子を感じさせる4人組、necozenecoは2024年に初のフル・アルバム『0』を発表。ポスト・ロックやエモに接近したアンサンブルでバンドの個性をより濃く滲ませていた。今回はそんな両バンドによる座談会を実施。SOUTH BLOWからは碩と長村創、necozenecoからはミツノマサルと大月ユウキというヴォーカリスト&ギタリストの計4名に、出会いから本スプリット収録曲の背景までをたっぷりと語り合ってもらった。

SOUTH BLOW, necozeneco 『A NEW DOOR』 Paddy field(2026)

 

――まず2バンドの出会いは?

長村創「2017年にnecozenecoが開催したレコ発が初共演でした。オルタナティヴを背骨に持ちつつ、普遍的なメロディーを作っているところは共通点かな。あと同い年なので、見てきたものも近い」

碩真也「大月くんがリードでファズを踏むところとか勉強になりますね。あと、マサルくんのメロディーは半音下げるところにキュンキュン来ます(笑)」

ミツノマサル「せきしん(碩真也)は歌オバケ感が凄い。図太い歌心は僕らより一段上じゃないかな」

――今回のスプリットはどういう経緯で誕生したんですか?

「府中にあるライヴハウスのFlightで、僕らとnecozenekoがツーマン企画をやっていているんですよ。もう5年も続いているので、何か形にしたいなと思って」

――作品全体の空気に統一感があって、2バンドの惹かれ合う理由がよくわかるスプリットになっていますね。

長村「でも、打ち合わせとかはしなかったですね。SOUTH BLOWはいま出したい音を出しました」

ミツノ「necozenecoはただめちゃくちゃいい曲を作ってやろうと」

――曲調やテンポ感、歌詞の世界観を含めて、2バンドの共鳴を感じますが。

「随所でアレンジが近いところもあって、4曲並べるとストーリー性がありますよね」

――そんなスプリットの1曲目を飾ったのはSOUTH BLOWの“Process”。

「10年よりもっと前にHOLSTEINみたいな音楽性をめざして作った曲が原型。言葉を詰めた曲にトライしました」

――2000年代のエモを表現しようとした?

長村「それもありつつ、necozenecoを意識して、大月くんらしい不協和音を使ったギター・プレイを取り入れました」

大月「アット・ザ・ドライヴインっぽい攻めたギター・アレンジですよね」

――〈思い起こせ初期衝動〉という歌詞が印象的でした。

「何かを続けていくうえで壁にぶつかることも多い同世代へのエールとして、この歌詞は書きました」

――2曲目に収録されたnecozenecoの“渦”はシューゲイザー的なギターが耳に残りました。

大月ユウキ「音作りで参考にしたのはMO'SOME TONEBENDERやLUNA SEA、あとアメリカのトゥーシェ・アモーレ。オルタナから一気にシューゲイズに行く展開はあまりないんじゃないかな。みんなで歌えるサビも意識しました」

ミツノ「“リライト”(ASIAN KUNG-FU GENERATION)みたいな(笑)」

――1、2曲目は共に〈雨〉という言葉が入っています。それに加えて、“Process”の〈まだ今も駆り立てるんだ〉と“渦”の〈あの高鳴りが終わらない〉には近いニュアンスを感じました。

ミツノ「そこは偶然(笑)。“渦”は雨の中のライヴの帰り道で、さっき観たバンドを爆音で聴いているというイメージでした」

――3曲目の“芙蓉の花”は、ピアノやホーンを導入した楽曲。すごく良い曲ですが、SOUTH BLOWにとってチャレンジだったんじゃないですか?

長村「ドラムのたろーが好きなマグネットという北欧のアーティストを参考にしたんです。空気感は冷たいけど、人肌の温もりを感じられるようにしたかった」

――せきしんの歌も魅力全開で。

「歌は自分の癖が出ないように心がけました。バンドを辞めた仲間や入院した友達など会えなくなる人は増える一方、自分には何もできない――その思いを曲にしたかったんです」

――〈あてのない道は続くけど それでも僕は待っているから〉と優しく包み込む歌詞もいいですね。

「笑顔で待つことが最善だと思ったんです」

――necozenecoによる4曲目“シュプレヒコール”はメロディーの良さが際立っています。

ミツノ「荒井由実とか70年代の音楽に影響を受けていたから、自然と歌い方や歌詞も優しくなったのかなと」

大月「マサルの曲は明るめのものが多いけど、僕はオルタナやポスト・ハードコアといった暗めの音楽が好きだから、そういった要素も入れたくて。この曲ではマス・ロック的な繰り返しとシューゲイザーな音を混ぜました」

――〈深々と想うあなたのこと〉のパートはたくさんの声を重ねていますね。

大月「みんなでシンガロングできる曲にしたかったんです」

――それでは最後に、4月25日に下北沢のSHELTERで開催される本作のリリース・パーティーに向けて、意気込みを教えてください。

大月「ずっとツーマンをやってきた府中のFlightから下北沢に場所を移してのライヴなので、両バンドにとって新しいフェーズへと入るきっかけの1日にしたいと思っていますね」

SOUTH BLOWのミニ・アルバムを紹介。
左から、2021年の『MONSTER』、2025年の 『LOVE SONG(S)』(共にBLACK JACK)

necozenecoのミニ・アルバムを紹介。
左から、2017年の『nene』、2018年の『C』(共に6:2)