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大人と子どもの間の時期に抱えたモヤモヤ

――ありがとうございます。他にも同作にはたくさんの楽曲が収録されていますが、自分を一番表していると思う曲はどれになりますか?

「“DREAM EATER”ですね。正直全曲僕を表しているとも言えるのですが、“DREAM EATER”は『ULTRActi:on』の裏リード曲。

デモを聴いた時に90年代のロックを感じてめっちゃ好きだったんですね。そのアレンジもかっこよかったのですが、依くん(藤家和依)がアレンジしたらもっと化け方が変わるな、と。自分の中で〈踊るならこう〉というイメージはもうあったので、依くんに〈アレンジやってくんない? かましちゃっていいよ〉と伝えました。“灰になる前に”も依くんがアレンジをしてくれているのですが、今回収録したのは2025年版のリアレンジなんですね。

前作を超えなきゃいけないということで、それがプレッシャーだったらしいんですね。なので〈ぶっ壊しちゃっていいよ。でもベースのビートは守ってほしい。依くんもこの曲を好きって言ってたから、曲のよさを壊さずに好きなようにやっちゃって〉と伝えて。それと同じことが“DREAM EATER”でもありました」

――そんな裏話があったとは。

「で、本題(笑)。なんでこの曲が僕を表しているかというと、この曲って16歳、17歳くらいの〈すごくやりたいことがあるのにできない〉という大人と子どもの間みたいな時期のことを書いているんです。最初に、〈僕の思いを持っているけど、まったく希望がない男の子〉を作って、夢の中のようにやりたいことを全部やっていくというストーリーで歌詞を書きました。でも、サビは〈放たれたい/睨む Gray sky〉とちょっとネガティブっぽいことを言っていて。それはその男の子の本性で、16歳くらいの僕の本性でもある。だから、僕を表している曲に選びました」

――愚問だったら申し訳ないのですが、なぜ歌詞の主人公は北山さん自身ではなく架空の少年なのですか?

「僕自身だと限界があるんですよ。架空の少年なら、たとえば空を飛ばすなどファンタジーにできるけど、リアルな自分のこととして書いてしまうと肉体的なものを感じて発想が飛んでいかないんです」

――歌詞の世界観を広げるためなんですね。とはいえ、その少年には北山さんのいろんな面が反映されているから、一番自分を表している、と。

「そう、そう。それに、16歳くらいの記憶ってほとんどなくて。性格も今とぜんぜん違っただろうし。自分の野望や欲、〈どうしたら売れるんだろう〉という思い、大人への敵意みたいなもの、そういったモヤモヤを抱えていた時期のことをファンタジーとして書いてみました」

 

北山くんって推しがいるの!?

――では、北山さんが一番〈素〉で向き合った曲を教えてください。

「素、かぁ。素の部分がないと曲に血が通わないと思っているので、どれもそうなのですが、あえて言うなら“サニーサイドアップ”ですね。学生時代、満員電車に乗るとサラリーマンがみんな汗だくになって頑張っているのを見ていたんです。じゃあ自分はどうやって生きていくんだろう、と考えていた10代の頃を思い出して書いた曲。一方で、この曲を聴いてハッピーになってほしいとも思っていて。

この曲で一番最初に書いた歌詞は〈散歩してるわんこしっぽがもふもふ〉なのですが、そこもハッピーに繋がっているんですよね。この歌詞は春先のロケ現場で遠くを見ていたら、お爺さんがワンちゃんを散歩していて。そこに風が吹いてきて尻尾がもふもふ動いていて、かわいいと思ってメモしていたのを歌詞に反映させてみました」

――北山さんが見ている風景が描かれている。

「書き出しも、イントロの忙しない感じを聴いて〈この主人公は朝ごはんを作っているんだな〉と想像して、目玉焼きを焼いているから“サニーサイドアップ”にしようとタイトルをつけました。

それと〈タイムラインチェック推しの恋愛〉も、ファンの方々の気持ちってどんな感じなんだろうと思って書いていて。でも、そこを深く言わないことで〈北山くんって推しがいるのかな?〉と想像させてみたり(笑)。仲間とキャンプに行こうという話をしていたから〈仲間とキャンプもいいよな〉と書いてみたり。日常生活感を演出してみました」