バンドAureoleの中心人物であり、現在はdownyのサポートメンバーとしても活動する森大地。株式会社キルクの代表として音楽レーベルkilk recordsを運営するほか、NEPOやヒソミネというライブハウスの運営や飲食業も営むなど、多角的な活動を行っている。そんな森が2023年にスタートさせたのが、埼玉県ときがわ町のビール醸造所Teenage Brewingだ。
クラフトビールの味にこだわりながら、洗練されたデザインと音楽などのカルチャーと交差した発信で新たな価値を生んできたTeenage Brewingは現在、タワーレコード渋谷店のビアバーTOWER RECORDS BEERとコラボレーションを展開中。新たなコラボビール〈TURNTABLE〉が2026年8月1日に発売された。
今回はこれを機に、森にインタビューを実施。初期衝動で音楽を始めた〈Teenage〉の時代からビール醸造に挑んだ背景、ビールと音楽との関わりまで、様々な話を聞いた。 *Mikiki編集部

〈Teenage〉の初期衝動に突き動かされて
――Teenage Brewingについてお話を伺うにあたり、改めて森さんのご経歴についても、お伺いしていければと思っております。そもそも音楽を始めたきっかけは、なんだったのでしょうか。
「中学生時代の友だちにギターを弾ける子がいて、ギターが弾けるなんて、かっこいいなと思って、自分もやり始めました。それまでは、野球部に所属していたのもあり、ずっとプロ野球選手になりたかったんです。でも、どんどん大人になっていくにつれて、野球の才能に限界を感じるようになって。気づいたときには、漠然と〈音楽で飯を食っていけたらいいな〉と考えていました」
――ご友人と一緒にスタジオに入ったりもしていたんですか。
「家が蕎麦屋をやっている友達がいて、そこの2階をスタジオ代わりに使っていました。普通の家なのに、なぜかドラムもギターアンプも音を出していい環境だったんですよ(笑)。大音量で、〈1・2・3・4・ジャーン!〉って合わせたときの感動は、今でも忘れられません」
――当時は、どんな音楽を聴いていたんですか。
「始まりは、BOØWYだったかな。学年があがるにつれて、グリーン・デイを聴き始めたり、従兄の兄ちゃんの影響でメタルに興味を持ったりもしました。
本格的に洋楽を聴き始めたのは、高校生になってから。最初にハマったのは、U2だった気がします。オアシスやニルヴァーナ、レディオヘッド、ベックとかを聴き漁って、音楽マニアみたいにCDを買いまくっていました。洋楽のライブもめちゃくちゃ行ってましたよ。初めてライブに行った海外アーティストは、スウェードでした」
――プレイヤーとしても、音楽は続けられていたんですか。
「そうですね。高校に入ってからは、オリジナル曲を作り始めるようになって。〈こんな感じの洋楽はかっこいい〉みたいな自分のなかのイメージを元にして、いわゆる初期衝動爆発な音楽をやっていました。第一印象をそのまま形にしたような曲だったので、今じゃ作れない面白さがありましたね。ボロボロすぎて、お聴かせできる音源じゃないですけど(笑)」
――初期衝動に突き動かされた、ティーンエイジャーならではの音楽をやっていたと。
「それこそ高校生の頃は、タワレコやHMVにしょっちゅう行っては、試聴機でめちゃくちゃ試聴していましたから。U2を知ったのも、レンタルショップで〈どんな音楽なんだろう〉と思って、なんとなく借りたのがきっかけでしたし。そこから、U2が載っている『rockin’on』を買い、〈オアシスって有名なのか〉とか〈大型新人のクーラ・シェイカーっていうのが出るのか〉みたいに情報を仕入れるようになって。
クラスのやつに〈お前は、こんないいバンドを知らないのか。ちょっと聴いてみ!〉って感じで、ドヤりながら紹介するのも好きだったんですよね。ちょうどカセットテープからMDに変わった時期だったので、自分なりにプレイリストを作っては、いろんな人にどんどん貸していました。自分が作った曲じゃないのに、〈めちゃくちゃ良かったよ〉と言われると嬉しくて。今となっては、そうやって広めるのが好きだから、レコード会社やライブハウスをやっていたんだなと思います」
――日常では、どのように音楽を聴いていましたか。
「映画を観るような感じで、向き合って聴くのが好きでしたね。 CDを買って帰ったら、袋を開けて、指紋がつかないようにブックレットや歌詞を見て〈こういうことを歌ってるのか、すげえ〉みたいに浸るんです。
一方で、フライングゲットした作品を、次の日の通学中に電車で聴くのも楽しみで楽しみで。そのおかげで、通学が楽しかったといっても過言ではないくらい(笑)。ビールに〈Teenage〉と付けたのも、あのときのテンションの上がりかたが忘れられなかったからなんです」