10年目の締め括りに、ふたたびハイパーダブが日本を襲来!!
「今年は少しほろ苦い年だったと思っているんだ。最高とも言えるし、最悪とも言えるしね」――いろいろありすぎた10周年イヤーのハイパーダブを、首領のコード9ことスティーヴ・グッドマンに総括してもらうとこんな言葉になる。いや、この界隈のファンなら誰に言わせてもそうか。〈最悪〉なのはもちろん、フットワークのパイオニアであるDJラシャドを4月に、そしてコード9の長年のコラボレーターであるスペースエイプを10月に、相次いで失ったことに他ならない。
「才能が開花しはじめていた2人の重要なアーティストが亡くなったのはとても辛かったよ。一方で最高だったのは、いままででもっとも良いイヴェントができて、さらに4つの違う特徴を持つコンピレーションをリリースできたことだね」。
KODE9, THE SPACEAPE 『Killing Season EP』 Hyperdub(2014)
コード9が立ち上げたウェブサイトを基盤にハイパーダブがレーベルの形へ発展したのは2004年のこと。それから10年が経過し……〈Hyperdub10〉を掲げたアニヴァーサリー・イヤーは今年1月の来日ツアーから動きはじめた。そして12月、記念の年を締め括るパーティーも日本のオーディエンスと共に行われることとなる。
「1月はラシャド、ローレル・ヘイロー、アイコニカと一緒にアニヴァーサリーのイヴェントを東京でやったんだけど、それがこの一年のトーンを決めるものだったと思うんだ。日本にはもう何度も行っているけれど、ハイパーダブのイヴェントを始めてからは、もっとエキサイティングだなって思うようになったね。日本はお気に入りの国の一つだし、日本でプレイするのは凄く楽しい。それにまだWOMBではやったことがないから、今回このパーティーをそこで締め括ることができるなんて最高だよ」。
このたびの来日公演には故ラシャドの相棒たるDJスピンに加え、フロストン・パラダイム、クーリーGも登場する。そんなパーティーを目前にナンだが、一足先に2015年の展望を訊いておこう。
「11年目は10年目よりもう少しゆっくりやろうと思ってるんだ。スピンや他のみんなと一緒にアルバムを出せるといいし、日本にももっとパーティーしに来れるといいね。あと、今年は5枚もコンピを出したから、しばらくコンピは出さないかな(笑)」。
▼コード9+ザ・スペースエイプの作品
左から、2006年作『Memories Of The Future』、2011年作『Black Sun』(共にHyperdub)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ
コード9の声となったスペースエイプ
10月2日に逝去したスペースエイプことスティーヴン・サミュエル・ゴードン。当初ダディ・ジーと名乗っていた彼のデビューは、コード9と組んだ2004年のシングル“Sign Of The Dub”であり、その品番は〈HYP001〉であった。ブリアルの“Spaceape”などにも客演し、コード9の相棒としてアルバム2枚を発表した彼は、ゆっくり回りはじめたレーベルの重たい車輪をその声とパフォーマンスで駆動させてきたのだ。2562時代から絆のあったマーティンをはじめ、バグやビート・ファーマシー、ダブ・ゲイブリエルらとのコラボも世に出ているが、ここ数年は闘病の影響もあってかその音源はあまりにも少ない。謹んでご冥福をお祈りします。
▼スペースエイプの客演作を一部紹介
左から、マーティンの2011年作『Ghost People』(Brainfeeder)、ダブ・ゲイブリエルの2013年作『Raggabass Resistance』(Destroy All Concepts)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ
Hyperdub10 Closing Event
【出演】コード9、フロストン・パラダイム、DJスピン、クーリーG
12/19(金)東京・渋谷WOMB
12/20(土)大阪・CIRCUS
http://www.beatink.com