つくづくハイパーダブは硬派にして柔軟なレーベルだと思うが、それはアーティスト個々の柔軟さをコード9が受容している結果だと言うこともできる。ケシャゼロ7らメジャー産の楽曲をハウシーにリミックスしていた頃のクーリーGは、UKファンキーを下地にアンダーグラウンドな黒いグルーヴを聴かせる存在だった。が、2012年の初作『Playin' Me』を完成させた彼女は、そこで自身のポテンシャルを掘り下げることを諦めなかったのだ。

COOLY G Wait 'Til Night Hyperdub/BEAT(2014)

 果たして今年リリースされた2枚目のアルバム『Wait Til Night』は、コード9も「本質的には南ロンドンのサウンドシステム・カルチャーを採り入れたR&Bアルバム」と定義付ける通り、コールドプレイ“Trouble”をダビーな彩色で歌ったような初作の一側面にフォーカスし、生来のヒップホップやレゲエ感覚も織り交ぜながらインディーR&Bのアプローチでヴォーカル表現に比重を傾けるに至った。本人の大きな脱皮は、来日時のパフォーマンスへも期待を膨らませてくれるものだろう。

 

 

▼関連作品

クーリーGの2012年作『Playin' Me』(Hyperdub)
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Hyperdub10 Closing Event

【出演】コード9、フロストン・パラダイムDJスピン、クーリーG
12/19(金)東京・渋谷WOMB
12/20(土)大阪・CIRCUS
http://www.beatink.com