VARIOUS ARTISTS Hyperdub 10.1 Hyperdub/BEAT(2014)

コード9をして「ハイパーダブのファンにはもっとも馴染みやすいアルバムじゃないかな」と言わしめるコンピ第1弾は、ダブステップにグライム、ガラージ~ファンキー、ジュークと、ハイパーダブの源流にあるベース・ミュージックの大河からキラーを掴み獲りした豪勢な2枚組。ロール・ディープ構成員でもあるフロウダンの“Ambush”、カイル・ホールの“Girl You So Strong”といった今年のシングルや、ソロでは最新シングルにあたるコード9の“Xingfu Lu”(2013年)、ファンキーステップズ“Hurricane Riddim”(2011年)などの大曲もここが初CD化だ。テックライフの面々がズラリと並ぶフットワーキン成分の濃ゆいブツなので、今回の『Next Life』と併せてチェックしておきたい。

▼関連作品

左から、フロウダンの2014年のEP『Serious Business EP』(Hyperdub)、テラー・デンジャー監修による2013年のコンピ『Hardrive Presents Hardwired』(Hardrive)、カイル・ホールの2013年作『The Boat Party』(Wild Oats)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

 

 

VARIOUS ARTISTS Hyperdub 10.2 Hyperdub/BEAT(2014)

ダブステップ時代のイメージから緻密なインスト主体レーベルという印象も持たれがちなハイパーダブだが、これは全曲がヴォーカル入りのトラックで編み上げられたコンピ。誤解を恐れずに言うと、相当親しみやすいポップ・サイドを照らした構成だと見ることもできる。いまは別の道を進むインガ・コープランド&ディーン・ブラントの未発表曲“Signal 2012”を筆頭に、新録も蔵出しも含めて半数以上はここが初出。みずから歌うクーリーGにジェシー・ランザ、デイム・ファンクと組むアイコニカ、ファティマを招いたDVAら雰囲気を弁えた注目曲が続き、シメはコード9とインガによる新曲。いずれもインディーR&Bと括られる界隈へのクラブ・サイドからのディープな回答か。

▼関連作品

左から、ジェシー・ランザの2013年作『Pull My Hair Back』(Hyperdub)、インガ・コープランドの2014年作『Because I'm Worth It.』(Inga Copeland/melting bot)、アイコニカの2013年作『Aerotropolis』(Hyperdub)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

 

 

VARIOUS ARTISTS Hyperdub 10.3 Hyperdub/BEAT(2014)

アンビエントからドローンに至るまで、ビートレスでシネマティックなトラックを選りすぐった一枚。今年アルバム・デビューしたファティマ・アル・カディリの初出トラックやフロストン・パラダイムの12インチ曲などもピックされている。「こういった映画のサントラ的なものってレーベルにとっては恐怖だからあまり出ていないと思うし、あったとしてもアーティストのアルバム中の間奏的な位置にしか登場しないと思うんだ。だからこそ俺はそういう部分だけを全部引っ張り出して一つのアルバムにしたかった。アルバムの中で埋もれるのではなく、ちゃんと作品として出すってことをね」と語るコード9は、本作が今年一番好きなアルバムらしい。

▼関連作品

左から、ファティマ・アル・カディリの2014年作『Asiatisch』(Hyperdub)、リー・ギャンブルの2014年作『Koch』(Pan)、ディーン・ブラントのニュー・アルバム『Black Metal』(Rough Trade/HOSTESS)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

 

 

VARIOUS ARTISTS Hyperdub 10.4 Hyperdub/BEAT(2014)

アニヴァーサリーを締め括るコンピ第4集は、再度ダンスフロアに視線を投げる2枚組。ブリアルの秘蔵曲“Lambeth”で幕を開けるDisc-1は、アイコニカの最新EPからのVIPトラックや、カイル・ホール初のハイパーダブ・トラック“Kaychunk”(2010年)など、ほとんどが新曲or未発表曲or初CD化曲で占められている。ちなみにコード9はその“Lambeth”が今年一番のお気に入り曲らしく、「5年くらい温めていたトラックなんだけど、やっとブリアルを説得してリリースできることになったんだ」と感慨深げ。〈10.1〉と同じくDisc-2は主旨に沿って既発トラックが並ぶショウケース仕立て。闇雲なスピード感を基準とする新しさのレースに乗るものではないが、ベタな意味でのいわゆる10周年記念ベスト盤としても万人に推薦したい。

▼関連作品

左から、ブリアルの2013年のEP『Rival Dealer』、ウォルトンの2013年作『Beyond』、ローレル・ヘイローの2013年作『Chance Of Rain』(すべてHyperdub)
※ジャケットをクリックするとTOWER RECORDS ONLINEにジャンプ

 

 


Hyperdub10 Closing Event

【出演】コード9、フロストン・パラダイム、DJスピン、クーリーG
12/19(金)東京・渋谷WOMB
12/20(土)大阪・CIRCUS
http://www.beatink.com