デビュー曲としてリリースされた“Secret Love”が配信チャートでいきなりNo.1を獲得し、一躍脚光を浴びることとなったN.A.O.。元LILのTSUGEが手掛けた90年代R&B的な旨味と人懐っこいループを備えたキュートな楽曲の良さもさることながら、そこに乗る歌唱のフィーリングは確かなポテンシャルと大器の片鱗を窺わせるものだった。

N.A.O. Sparkle a.m.p/Village Again(2014)

 もともと大阪生まれの大阪育ち、両親が音楽好きだったことから幼少時よりさまざまな音楽に触れて大きくなってきたというN.A.O.。特に母の影響で好きになったマイケル・ジャクソンを入口に、デスティニーズ・チャイルドなどのR&Bアクトにハマるようになったそうだ。やがて詩を綴る習慣と、ピアノや歌うことの楽しさが自然と結び付いていった結果、高校時代の海外留学を経て、本格的にソングライティングを開始する。地元のクラブでライヴ経験を積み、上京後は海外アーティストとの共演を含むさまざまなシチュエーションでパフォーマンスを経験。キャリアを確実に積み上げて、冒頭で触れた通りのデビューに辿り着いたというわけだ。そうやって期待を膨らませてきた彼女が、絶妙のタイミングでミニ・アルバム『Sparkle』を完成させた。

 セルフ・プロデュースによるEDM調の“Young Forever”でゴージャス&アッパーに幕を開け、以降も海外のメインストリーム的なバランスで麗しいアーバン・ポップがメロディアスに展開され、華のある持ち前のヴォーカリゼーションが水を得た魚のように躍動する様が実に気持ち良い。ほぼすべての詞曲が彼女自身のペンによるもので、宇佐美秀文ゴスペラーズBABYMETALらとの仕事でお馴染み)らプロデューサー陣が楽曲ごとの表情を豊かに彩色。クリスティーナ・アギレラあたりの力強さを想起させる“S.T.R.O.N.G.E.R.”やセンシュアルなスロウ“Mr. lover”までの振り幅を硬軟自在に行き交う全6曲を聴き終える頃には、その艶やかな歌唱の魅力にもっと触れてみたくなっていることだろう。

 

▼関連盤を紹介

左から、LILの2012年作『L2』(ユニバーサル)、ゴスペラーズの2014年作『The Gospellers Now』(キューン)、BABYMETALのBD「LIVE AT BUDOKAN ~RED NIGHT & BLACK NIGHT APOCALYPSE~」(BMD FOX/トイズファクトリー)

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