弾き語りをメインに据えた新作は、聴き手の気持ちを揺さぶりにかかる歌声が時に柔らかく、時に鋭く光る一枚となった。なかでも野外録音ならではの自然音が溶け込んだ音像とセンシティヴな歌詞が絶妙にシンクロした高松洋子のカヴァー“あめ玉”や、静謐に響くピアノをバックにして叙情的に歌い上げた“姉弟”には、〈歌〉と真正面から対峙したからこそ生まれる覚悟めいた気迫が感じられ、耳を奪われる。