懲りない面々というか、面(私)ですね。
自分でもよく行くよなと思いますが、また行ってきちゃいました、ソウルへ、ZION.TとCRUSHを観に。この2人がジョイント・ライヴを開催するというので、行かない理由が見つからず、のこのこ出向いてしまった次第。
場所はソウルにあるBlue Square Samsung Card Hallという、東京で言えばZepp Tokyoの1.5倍くらいの大きさのホール。韓国でのアヴェレージはよくわからないのですが、チケット代はおそらく結構高いほうで、日本円にして8000円弱くらい(安めの席で)。最初はなんでこんなに高いんだ!と思ったけど……内容を見れば、まあ高くても仕方ないかなという感じ(理由は以下を読めばわかる)。そんなお値段なので、ティーンがワンサカ!というK-Pop的な客層でもなく、落ち着いていて良かったです。
今回のジョイント・ライヴは3日間に渡って行われ、われわれは中日に赴きました。うっかりしていると前日のネタバレ情報をたくさん見ることができてしまうため、極力そういった情報からは距離を置きつつ臨むことに。ただ、数日前から主役2人がインスタにアップしていた写真から推し量るに、どうやらバンド・セットで行われるのではないか!というのは何となく予想しておりました。私にとってこれは果てしなく喜ばしい状況! 特にZION.Tの近年のバンド・メンバーと言えば私の大好物だらけの軍団――セカンド・セッション(ソウルの3人組ジャズ・ファンク・バンド)に鍵盤奏者のユン・ソクチョル、そしてDJ SOULSCAPE――という、1度で4度くらい美味しい展開なわけです。よしゃ! (๑˃̵ᴗ˂̵)و
その大好物軍団の一人、ユン・ソクチョル氏の優しい鍵盤が先導するZION.TとCRUSHのコラボ曲“그냥 (Just)”でショウはふんわりとスタートしつつ、各々のソロ・ステージへ――まずはZION.Tから。先ほども書いた通り、垂涎としか言いようのないバンドのラインナップなので、それだけで胸がいっぱいです。2013年のデビュー作『Red Light』からの楽曲を中心とした自身のナンバーに、同じアメーバ・カルチャー所属のプロデューサー・PRIMARYのリーダー作『Primary And The Messengers』に収められたZION.T参加曲も盛り込んだセットリスト。ジャー・シャカ譲りの“지구온난화”を皮切りに、音数を抑えたグルーヴ重視のトラックが生演奏のせいかグッと渋く感じられた“Doop”、軽やかなロックステディ調に改編された“뻔한 멜로디 (Two Melodies)”(なぜかカーペンターズ“Close To You”を噛ませるという……)、ジャズ・ブレイクス仕立ての“도도해”と、これまでにYouTubeで観て知っていたものも一部ありましたが、いずれもスタジオ盤では聴けないアレンジでめちゃめちゃ良かったです。
なぜかその場にいた時よりも、思い出して、反芻しているいま、改めてその良さを実感している……。もう1回観たいな、あのセットで。ほぼオリジナル・ラインナップによるラスト“돌아버려 (Spin Spin)”に至るまでの後半の盛況は言わずもがなだけど、〈わかってらっしゃる〉渋めのプロダクションと、何を言ってるかはわからないけどMCでは爆笑が巻き起こっていたZION.Tの掴みどころのないムード――(ヘンな言い方ですが)玄人好みのストレンジなノリがイイ感じでした。
続いてCRUSH。やはり黄色い歓声がやや多めでしたね。彼が従えるバンドはこれまたお馴染みのクマパークというジャズ/ヒップホップ・バンド。EWI(ウィンド・シンセサイザー)使いのバンド・リーダー、クマ氏は、本名にはクマのクの字もないし、日本語をわかってそうしているのか(だったら熱い)、その名の通り熊さんみたいな風貌です。まあどうでもいいですね。
昨年のライヴで観たCRUSHは、やや控えめながらも自信に溢れる清々しいフレッシュさにクラクラするほどでしたが、今回は控えめ感などまったくなく、女子どもがキャーンヘ(≧▽≦ヘ)♪と思わず声を上げてしまう色っぽいダンスもドヤ顔で披露するなど自信に満ち溢れたステージに。まったく何を言っているかはわかりませんでしたが、オーディエンスとじらしプレイっぽいやりとりを繰り広げるなどMCも堂に入ったものです(というか、ZION.Tもこの人もMCがえらく長い)。ただ、清水翔太ライクな少年っぽさは相変わらずで、一生懸命な歌唱にはやはり母性本能をくすぐられました。ずっとそのままでいてほしい。
もともとバンド・サウンドの楽曲が多いこともあってか、原曲を活かしたアレンジとなっており、一部はスタジオ盤のトラックも使用。耳馴染みのある音だったのでオーディエンスも反応しやすかったのか、どの曲でもシンガロングされていました。なかでもハイライトは、“아름다운 그대 (Beautiful You)”でフィーチャーされているレーベルの大先輩、DYNAMIC DUOのCHOIZAが登場したところでしょうか。そんな〈ご本人登場〉に観客は狂喜し、DYNAMIC DUOにそれほど思い入れがない自分もその光景にはなぜかアガった(笑)。ちなみにDYNAMIC DUOのもう一方であるGAEKOも、自身が参加した“Hug Me”の際に登場。いずれもサクッと自分のヴァースをラップして、余韻なくサクッとステージ袖に戻っちゃいましたが。3日間通じてこの2人は登場したのでしょうか。
ご本人登場ショックも収まらぬなかCRUSHの全8曲が終了すると、主役のお色直しタイムということでDYNAMIC DUOのショート・ショウも行われました。派手な2曲をサクッと。やっぱり韓国では凄く人気があるんだなあという、ぼんやりとした実感と共に……以上です。
お色直しが終わると、ふたたびメイン・アクトの登場。ZION.T“양화대교 (楊花大橋)”とCRUSH“Sofa”という両者の最新シングルとなるバラードを交互に歌った後は、CRUSHがフィーチャーされているZION.T“뻔한 멜로디 (Two Melodies)”を2人揃って披露しました。ここではオリジナルに近いアレンジがなされたヴァージョンで。各々の歌唱パートごとに2人の立ち位置が結構な高さまでせり上がったり下がったりする(わかるかな?)という、高所恐怖症の私としては見てるだけでもなかなかにスリリングな演出――今回のライヴはVJを含めてこういった演出面のアレがややアレでして……センスの違いでしょうか。
その後の2人揃ってのまあ~長いMCを挿み、続いてはZION.Tが招かれたCRUSH“Hey Baby”、そして本編ラストとして2人でPRIMARY“씨스루 (See Through)”をアゲイン。オリジナルではGAEKOが担当していたパートをCRUSHがラップしていました。PRIMARYの曲はキャッチーさの塩梅も秀逸で、本当に間違いない良さなのでおかわり大歓迎ですな!
アンコールは、バンド・メンバーも改めて登場して“그냥(Just)”をおかわり。ここはサビをオーディエンスと大合唱しちゃうくらいじっくりと、終わりそうで終わらない感じで名残惜しそうに……。とはいえいよいよ終わりが見えてくると、客席から〈アンデー!〉〈カジマー!〉(ダメ行かないで!的な)という声が飛び、2人が〈気を付けて帰れよ、風呂入れよ、歯磨けよ〉みたいなドリフ・スタイルの声をかけつつ2時間半ほどのショウが終了……(泣)。何とも幸せなひとときでした。
【SETLIST】
■ZION.T & CRUSH
그냥 (Just)
■ZION.T
지구온난화
Doop
뻔한 멜로디 (Two Melodies)
PRIMARY - ? (Question Mark)
도도해
Babay
PRIMARY - 씨스루 (See Through)
돌아버려 (Spin Spin)
■CRUSH
A Little Bit
눈이 마주친 순간 (I Fancy You)
Crush On You
밥맛이야 (I Hate Them)
Whatever You Do
가끔 (Sometimes)
아름다운 그대 (Beautiful You) feat. CHOIZA
Hug Me feat. GAEKO
■ZION.T
양화대교 (楊花大橋)
■CRUSH
Sofa
■ZION.T & CRUSH
ZION.T - 뻔한 멜로디 (Two Melodies) feat. CRUSH
CRUSH - Hey Baby feat. ZION.T
PRIMARY - 씨스루 (See Through)
《En.》그냥 (Just)
最近SNSなどで、ZION.TやCRUSHは来日しないのかとつぶやいている人をちらほら見かけますが、少なくとも日本の人たちが彼らのCD(iTunesでも)を買わない限り、来ません! 来ないと思ったほうがいいです! YouTubeでチェックしているだけではダメです! まだ音源をゲットしていない人はぜひ、買いましょう。とても良い作品ですよ。
最後に、日本ではチケットをゲットできなかった今回のライヴ観戦に手を貸してくれたサキちゃん(いつもだけど!)&ナヨンさん、本当に本当にありがとう! 2人がいなければ、あたし……あたし……(号泣)。こういう方々に支えられて生きています。