ご無沙汰ブログ。

いつの間にやら韓国旅行ブログと化していますが、もう1年以上も留守に。とはいえそんなこと誰も気にしてないと思うので、普通に書きます。

そんなこんなで、この1年の間にもちょいちょいソウルへ行っては、さまざまなライヴや夜遊びに勤しんでおりました。CRUSHBEENZINOのワンマンへ行ったり、ZION.Tなどでお馴染みの鍵盤奏者、ユン・ソクチョルのトリオのライヴに連れてってもらったり、棚ぼた的にチャン・ギハと顔たちスルタン・オブ・ザ・ディスコの共演ライヴに観に行けたり(長谷川さんありがとうございます)など、いろいろ。それらについて書きたいことは山ほどあるのですが、もう過去の話なので……今回は何よりも書きたいことがあるのです。

ここ2年ほど、異常に気になっている韓国のヒップホップ・クルーがいます。その名もLEGIT GOONS。これまでもMikikiのトピックス記事で、本隊や構成員たちのソロ作のタイミングに何度か紹介しているのですが……大した反応はないんですよね……(塩)。なんでだろうな~、めっちゃイイのに! あまりにも反応がないので、トピックスではなくこのブログでしっかり紹介しようと思い、温存していた次第です。

さて、このLEGIT GOONSは、MC/ビートメイカー/フィルムメイカーなど(現在は)10人の構成員から成るクルー。なかでも知られた存在としては、EPIK HIGHTABLOが主宰するレーベル=ハイグラウンドHIGHGRNDヒョゴも所属してます)が立ち上がって間もなく参入したプロデューサーのCODE KUNSTでしょうか。ていうか知られてるのかな……。

CODE KUNSTの2016年のシングル“Beside Me”
 

で、私が知ったきっかけは……と思い返すと、ラッパーのJAYHOがリリースしたミックステープ『Side Mirror』(2013年)だったかもしれない。この作品がめちゃカッコイイ❤となり、彼のことをいろいろ(ってほどでもないけど)調べるなかでLEGIT GOONSにぶち当たり、その直後に発表された初のクルー・アルバム『Change The Mood』(同)でどハマりしたという展開だったような気がします。

2013年のミックステープ『Side Mirror』収録曲“뒤로 젖혀 (Lean back)”。カッケー
 

プロ・エラ周辺やアクション・ブロンソンあたりに通じる、90年代NYのブーンバップな薫りを携えた、ユルく耳馴染みの良いサンプリング主体のトラックが非常に私好み。さらに、とても愉快な人たちなんだろうなという気合いの入ったミュージック・ビデオと併せて、深く心に刻み込まれたわけです。

『Change The Mood』以降は、先述のCODE KUNSTをはじめ、各構成員がぼちぼちソロ作をリリースしていきます。個人的には、以下のLEGIT GOONSが誇る3MCのアルバムがお気に入りなので、ここで紹介させてください。

まずは、LEGIT GOONSのファウンダーの一人であるBLNK-Time(ブレンタイム)。昨年発表したアルバム『Color Unique』はチルの極北のような作風が特徴で、IDEALを中心に、CODE KUNSTやBIGLIGHTBEATZYOSIといったクルーのプロデューサー陣がトラックを提供しています。チルすぎてもはや白昼夢サウンドと化した“Chillin’ In My House”がオススメ。MVでも本隊のそれ同様にコスプレは欠かせません。

BLNK-Time Color Unique Legit Goons(2015)

続いては、存在自体がなんかおもしろいベッサゴン(뱃사공)の初作『출항사 (出港者)』(2015年)。自身のユニット=ヤバム・グループ(真夜中グループの意)で相棒を務めるBIGLIGHTBEATZががっつり関与しているかと思いきや、ここではLEGIT GOONSのもう一人のファウンダーであるプロデューサー・AUTHENTICをメインに制作されています。個人的には収録曲“마초맨 (Machoman)”の、刑事ドラマ仕立てのMVがえらくお気に入り。楽曲にフィーチャーされたCHABOONDEEPFLOWに加え、LEGIT GOONSと縁の深いラッパーのノクサル(넉살)らVMC(ヴィスメジャー・カンパニー:DEEPFLOWも一員)の面々が刑事やチンピラ役として登場しています。なぜかベッサゴンが非売品のはずのBOSSジャンを着ていたり、ファイルで部下の頭を叩くなど(わかる人にしかわからないかもだけど)一連のアレコレがいちいちツボで秀逸。最後にNG集を挿んでくるところも抜け目ない。楽曲そのもの以上にMVの破壊力にヤラれてる感じですが、トラックもハードボイルドなネタ使いがカッコ良く、いちばん好きです。ところでベッサゴンの作品はiTunesで扱われないのでしょうか……彼だけない……。

お次は、LEGIT GOONSを知るきっかけとなった男、JAYHOです。彼は先日、ついにファースト・アルバム『르망 (ルマン)』を発表しました。先述のミクステの制作陣は一部しかわからないのでアレですが、少なくともそれ以降にリリースしているものはAUTHENTICがほぼすべて手掛けています。J・ディラNujabesに影響を受けたというAUTHENTICのトラックは、ソウルやジャズを用いた哀愁味溢れるサンプリング・ビートが特徴。確かにベッサゴンのアルバムでもその才気は迸っているのですが、個人的にはJAYHOのラップとのマッチングのほうが好きかも――と、書いたところで再度ベッサゴンのアルバムも聴いてみましたが、やっぱりそっちもそっちでイイ。つまりAUTHENTICは最高ってことです。

JAYHO Le Man Legit Goons(2016)

そして最後に……LEGIT GOONSの第2集『Camp』が、JAYHOの新作から間を空けずにリリースされました。ソロ作の制作に忙しいっぽいCODE KUNSTは参加してないようで、私の大好物・AUTHENTICに、BIGLIGHTBEATZやIDEALが各曲のプロデュースを手掛けています。LEGIT GOONSならではのレイドバックしたムードはそのままに、トラックはよりシンプルかつ多彩になって、〈LEGIT GOONSらしさ〉みたいなものがいっそう濃厚になった気がしますね。イマっぽい(?)浮遊感のあるビートなんかもあったりして。オディッシーのビート集『The Odd Tape』(2016年)あたりで聴けるメロウなテイストが好きな人にはだいぶオススメです。

LEGIT GOONS Camp Legit Goons(2016)

ということで、簡単ですがLEGIT GOONSについては以上です。記事のタイトルに〈いま旬を迎えている理由〉と書きましたが、特に理由はありませんでしたね。韓国にはほかにも、ドラッギーでサイケな作風で他とは一線を画すワビサビルームや、その一員であるチャン・ユソクのソロなんかも気になっているので、いつか紹介したいと思っています。

ワビサビルームの2015年のEP『비밀꼴라쥬(秘密コラージュ)』収録曲“비밀꼴라쥬”