Photo by Naoki Fujioka

 

アイリッシュ・ソウルの新たな才能が、ついに日本デビュー!

 ドイツ・ベルリンを拠点に活動するアイルランド出身のシンガーソングライター、ウォリス・バードが満を持して日本デビューを果たした。

 生後半年でギターで遊び始めるが、左手を大けがしてしまったことが原因となり、サウスポーのスタイルで右利き用のギターを上下逆さに持つ独自の演奏法を身に付けた。「エレキのサウンドに頼らず、アコースティックギターならではのボディ感を大事にしたい。そしてメロディもパーカッションも、ひとりでバンドの音を全部出すようなプレイが自分の表現方法に合っている」というバード。パーカッシヴにグルーヴするギターとともに彼女の大きな魅力は、どこまでもソウルフルに響く力強い歌だ。「私には兄弟が7人いて、その中で欲しいものを手に入れるには、とにかく大声で主張しなければいけなかったの。そんなところを起点として私のヴォーカル・スタイルが出来上がっていると思う」。

 2007年のデビュー以来、これまで4枚のアルバムを発表し、その卓越した音楽センスと迫力のライヴ・パフォーマンスは、メアリー・ブラックポール・ブレイディといったアイルランドの大御所アーティストからも絶賛されている。そのヴェールを脱ぐべく用意されたのが、日本のファンのために特別編集されたベスト・アルバムと、5月に東京で実現した一夜限りの来日公演だった。

WALLIS BIRD Bird Songs ~The Best Of Wallis Bird~ SEVEN SEAS/キング(2015)

 アルバムではほとんどの曲がバンドスタイルで演奏されていて、ストレートなロックからソウルフルなバラード、そしてハウスのテイストを取り入れたダンス・チューンまで多彩な楽曲が収められており、彼女のソングライティングの幅広さを証明しているが、その核をなすのは、あくまでもギターと歌。ほとんどそのふたつだけで臨んだ今回のライヴは、まさに圧巻のひと言。ギターを自由自在にかき鳴らし、刹那的なまでに全力疾走する彼女が発するエネルギーは、「現状を打破し、新しい自分になろう。今日この日を、自分らしく精いっぱい生きよう」という、彼女の多くの曲に込められているメッセージを全身で表現しているようだった。

 ベルリンにやってきて2年半。「もっと早くに移ってくればよかったと思うほど大好き」というバード。「いろんなところを旅するのが好きで、日本にもまたすぐにでも戻ってきたい。そして今回のアルバムを手にとってくれた方には、オープンな気持ちで聴いてもらえたらと思う。そして、私は死ぬまで音楽を続けるから、その間にどこかでお会いしたいな」。

 ウォリス・バードの旅は、まだ始まったばかりだ。