オペラ作品からイタリア民謡、クマムシの《あったかいんだからぁ♪》も歌います!

 音楽好きのサモア人の両親のもと、ニュージーランドで育ったペネとアミタイの兄弟と、従弟のモゼスは、予期せぬ展開からソレ・ミオを結成することになった。

 「僕らは、オペラ歌手を目指してウェールズに留学したんだけれど、その資金稼ぎのために行ったコンサートで、レコード会社にスカウトされたんだ。思わぬオファーに全員で爆笑しちゃった(笑)」(ペネ

 3人は留学を優先させて、1年後に晴れてデビューする。兄弟はテノール、モゼスがバリトンという編成で紡ぐ美しいハーモニーと豊かな表現力に加えて、陽気な人柄が伝わる歌の温かみ。アルバム『オー・ソレ・ミオ』には思わず笑顔になるような歌が詰まっている。

 「純粋なクラシックのアルバムを作ることも出来た。クロスオーヴァーという方向性は、レコード会社の提案だったけれど、最終的には僕らに縁のある多彩な歌を選ぶことが出来たので、良かったと思う」(モゼス)

SOL3 MIO オー・ソレ・ミオ~癒しのオーシャン・ヴォイス ユニバーサル(2015)

 その選曲がまた素晴らしい。イタリア民謡、オペラ、ミュージカル、讃美歌、サモアの歌、ポップなどジャンルの垣根を越えた、多彩な名曲が選ばれている。

 「資金稼ぎのライヴで歌っていたレパートリーの中から自分達のやりたい曲、歌う意味のある曲、さらに聴き手が楽しめる曲といった具合に何度かふるいに掛けて絞り込んだ16曲になっている」(ペネ

 意味のある歌、それはよくわかる。ミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』からの《マリア》では心がふわりと浮かびあがるような珠玉のハーモニーで、彼らの魅力を存分に発揮し、ポリネシア風アレンジの《イエロー・バード》、祖国の愛唱歌《ウィー・アー・サモア》では彼らのアイデンティティが表現されている。その一方で、不思議なのはベット・ミドラーのヒット曲《ザ・ローズ》が選ばれていることだ。

 「僕らが子供の頃、老人ホームのボランティアで《ザ・ローズ》を歌うと、この時だけはホームで働いている母が聴きに来るんだ。母の好きな曲で、彼女はこの歌を聴くたびに涙を流すんだよね」(アミタイ

 この歌のどこか遠くを見つめるような、愛に満ちたせつなさにはそういう理由があったのか。アルバムは、ニュージーランドで2013年にリリースされて、9週連続1位という大ヒットになっている。

 「1位になるなんて信じられなかった。僕らの音楽がニュージーランドで受け入れられたことが最高にうれしくて、スタジオでのハードワークや留学時の苦労などが報われた思いでいっぱいになったよ」(ペネ)

 日本盤のボーナス・トラックとしてクマムシの《あったかいんだからぁ♪》をカヴァー。彼らの音楽を象徴する、稀にみる秀逸の日本語カヴァーになっている。

 

初来日公演決定!
SOL3 MIO Live In Japan / ソレ・ミオ ライヴ・イン・ジャパン
○東京 11/24(火)EX THEATER ROPPONGI 開場 18:00 / 開演 19:00
○大阪 11/27(金)森ノ宮ピロティホール 開場 18:00 / 開演 19:00
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