音を探求し続ける2人の背景にあるものは……

 4声のヴォーカルを重ねたインディーR&B風の“春の雨”、「〈銀河鉄道〉を意識したんです」(ミユキ)というループ主体の浮遊感溢れるエレポップ“宇宙を泳ぐ舟”、エヴリシング・バット・ザ・ガール版の“Kid”をカヴァーしたことから派生したという初々しいギター・ポップ“All I Want”、重厚なシンセ使いのスタジアムEDM“火の鳥”、「フガジを聴いているときに作ったらこうなっちゃった」(ハルカ)というささくれたオルタナ・チューン“COPY”……と、アレンジが前作『世界』以上に多様化した『LIFE』。

 詞/曲を担うハルカに対し、その歌世界を聴き手に伝わりやすく色付けする場面では、ニューロマなど80sのUKニューウェイヴ勢を起点に時代感を広げ、華やかなシンセ・サウンドを研究し続けていると思しきミユキの嗜好も大きく反映されている模様で……。

 「制作中はビッフィ・クライロとかアクアラングとか、ジャックナイフ・リーのプロデュース作をよく聴いていて。全体的にはシャーッと(笑)してるんだけど、ちゃんとシンセでまとまってるし、歌も引き立ててる。あとは下手さというか(笑)、味のあるところがハルカトミユキっぽいなと思ったり。“春の雨”は、退廃的な音というところでポーティスヘッドマッシヴ・アタックとかのトリップ・ホップが頭にありました。あと、ゼッドとかアヴィーチーとかのEDMも好きなんだけど、ハルカは嫌いだから、ちゃんとギター・サウンドと混ぜてハルカの納得する形を模索したのが“火の鳥”ですね」(ミユキ)。

【参考動画】マッシヴ・アタックの91年作『Blue Lines』収録曲“Safe From Harm”
【参考動画】アヴィーチーの2015年作『Stories』収録曲“Waiting For Love”

 

 今後控えるのは、年内のフル作。2人の音の探求はまだまだ続く。