最新作『MOON EP』のリリースや鎮座DOPENESS&サイプレス上野との翼を授けるコラボ曲“Tropical Triangle”と、この夏は多くの話題を振り撒いたZEN-LA-ROCKが、かねてより親交を深めていた韓国のラッパー・KIRINとのコラボ企画をスタート。同企画にあたってgrooveman Spotがトラック提供した“theFunkluv”のレコーディング&ミュージック・ビデオ撮影を実現するため、現在クラウドファンディング・プロジェクトを実施中だ。

※クラウドファンディングの詳細はこちら

KIRINについてはMikikiではたびたび紹介しているので、すでに知っている人も多いかもしれないが、彼はニュー・ジャック・スウィングに徹底してこだわる韓国のラッパー/シンガー(さらに絵描きでもある)。昨年初アルバム『사랑과 행복 (愛と幸福)』をリリースし、かの地でも一躍注目を浴びる存在となった。ゼンラ氏とは数年前から連絡を取り合っていたそうで、今年4月に韓国のパーティーで共演したことをきっかけに、今回のコラボへと発展したという。その後、KIRINが来日した際は共にいくつかライヴを行い、息の合ったパフォーマンスを見せていたのも記憶に新しい。

【参考動画】KIRINの2014年のシングル“Jam”
 
【参考動画】KIRINの2015年のシングル“Summer Holiday ('97 In Love)”

 

今回のコラボ盤では、2人のためにgrooveman Spotが腕を振るったニュー・ジャックでGでファンクな“theFunkluv”(インスト音源が公開中↓)に加え、ゼンラ氏の近作でもお馴染みのYasterize製ナンバーも収録されるとか。楽しみすぎる! しかしこの曲たちが陽の目を見るためには、そしてMVが観たいと思ったら……みんなの協力が必要。オリジナル・グッズなどヴァラエティーに富んだ嬉しいリターンも付いてくるクラウドファンディングに参加してほしい!

……ということで、MikikiではZEN-LA-ROCKとKIRINへのミニ・インタヴューを敢行。今回の企画についていろいろ訊いてみたので、どうぞ!

 

――ラッパーとしてのKIRINの印象は?

ZEN-LA-ROCK「人間的にはかなりマニアックな男だな~というか、非常に共感できるところが多かったです。漫画『黄昏流星群』が好き、とか……普通、そんなの家にないですよね(笑)。前回日本に来た際に渋谷のレコード・ショップで、勉強不足ですが俺の知らない日本人アーティストのリイシュー盤を3枚も買ってたりとか、一緒に遊んでいておもしろいなあと。なおかつ優しくて、普段は大人しいくらいだけど、ライヴでのパフォーマンスは上手いなと思います! ソロのラッパーだから、というのもあるかもしれませんが。どうしても目立ってしまう〈ニュー・ジャック・スウィングな〉ということだけでない彼のヤバイところも今回の作品で表現できたらと思って、メールでデモを飛ばし合っています」

【参考動画】ZEN-LA-ROCK×鎮座DOPENESS×サイプレス上野の2015年のコラボ曲“Tropical Triangle”

 

――ではKIRINさんがZEN-LA-ROCKさんを知ったきっかけは?

KIRIN「僕のファースト・アルバム(『사랑과 행복 (愛と幸福)』)の準備をしながら、音楽センスの合うミュージシャンとおもしろい仕事を一緒にしたいと思い、リサーチを重ねていたところ、ZEN-LA-ROCKを見つけてメールをしたんです」

【参考動画】KIRINの2014年作『사랑과 행복 (愛と幸福)』収録曲“요즘세대 연애방식”

 

――それまで、日本のヒップホップはチェックしていたんですか?

KIRIN「日本のヒップホップは僕が中高生時代(2000年代初頭)に韓国でも有名になり出したんです。特にDABOZEEBRAm-floなどが人気でしたね。でも僕は宇多田ヒカルが好きで、Cubic U名義でUSでリリースされたアルバム『Precious』が気に入っています。また、日本のヒップホップ以外にも80年代のシティー・ポップ系、特に松下誠間宮貴子の作品をよく聴いていました」

――へぇ~、そんなところまでチェックしているとは! ちなみに個人的な興味なのですが、この間日本でもライヴをされて、日本と韓国のオーディエンスの反応はやはり違うなと思いましたか?

KIRIN「大きな違いは感じられませんでした。おそらく、音楽好きの方が楽しい時間を過ごすために来ているので、みんな似たような感じだと思います。しかし、日本での公演は忘れられないほど良い思い出になりました。新しい場所で、新しい人々に自分の歌を聴いてもらうというのは本当に特別なことなので」

――なるほど。それで、今年の韓国での共演をきっかけにコラボ企画が立ち上がったそうですが、そこに至った理由は?

ZEN「今年韓国に行って、KIRINと3日間遊んでライヴもしたのですが、音楽や漫画などの趣味がこんなに合うラッパーに初めて会った、というところが大きいです。彼のdig精神にはホントにヤラれましたし。KIRINはいま盛り上がってる韓国のヒップホップのシーンでも当然異色だけどリラックスしてるし、どこか自分と近いものを感じたので。あと、初めて会った時からそこそこな時間を経て、こんな感じ(コラボ企画をやるまで)になれたのは何か感慨深いものがあります。だから絶対に成功させたい」

KIRIN「ZENと一緒に音楽をやってみたいという気持ちはいつも持ってました。その気持ちが、自然とこの企画を呼び寄せたと思います」

――2人のコラボということで意識した点、こだわっている点は?

ZEN「どっちが前に出るかというのではなく、日韓どちらの国の人が聴いてもお互いの色が出せて、絡み合っていること。それはリリックにも言えます。言葉はかなりミックスしていくつもりです。そして作品名は“theFunkluv”になると思うのですが、その名に恥じぬ内容にすること。まさにこの組み合わせの真骨頂かと!」

KIRIN「単純なフィーチャリング・ワークではないし、お互い遠く離れたところにいるので、2人でやり取りをしながらどれだけ上手く調和が取れるかということにかなり気を遣いました」

――grooveman Spot、Yasterize両名にトラックを委ねた理由は?

ZEN「grooveman Spot氏は今回のプロジェクトには欠かせないです。KIRINが最初に自分にコンタクトを取ってきてくれた曲(“NEW JACK UR BODY”)はgrooveman Spot氏によるものだし、KIRINもファンだと思うので絶対に!というので、最高のオケもいただきました。Yasterize氏に関しては、彼から渡されたビートがいろいろな経緯を経てKIRINにも届いており、Yasterizeの家に遊びに行った際に聴いて〈えー!〉という(笑)。しかも彼が書いたトラックもイイ感じだったこともあって、そんな自然なのか異様な流れで決まりました」

KIRIN「そう。実は別のプロジェクトで、Yasterizeさんとのタッグで1曲作ることになっていたんです。彼が送ってくれた曲のリストを聴いて、一瞬で気に入ったトラックがあったのですぐにリフレインを作って録音しました。後にYasterizeにその話を伝えたところ、ZENがこのビートで曲を書くことにしたと言うんです。だからZENが韓国に来た時に僕が録音したリフレインを聴かせて、結果この曲を2人で一緒に作ることになったという運命的なストーリーが(笑)。Grooveman Spotは韓国の音楽ファンの間でもすでに有名な方なんです。今回一緒に仕事ができて本当に光栄で、僕の音楽人生において大きな功績を残した気分ですよ」

――出来上がった曲たちの仕上がりはどうですか?

KIRIN「これまでになくファンキーで、踊りやすい曲になったと思います。僕たちの曲はただ音源を聴くだけでなく、ライヴのほうがより盛り上がると思うので、ぜひ今後の動きもチェックしてください」

――プロジェクト支援者へのリターン詳しくはこちら)がとても手厚く、豪華だなと思いました。Tシャツやキャップ、トレーナーなどは完全に今回のオリジナルなんですよね?

ZEN「完全にオリジナルです。このままでは版代とかで赤字になっちゃいます(涙)」

――ミュージック・ビデオはどのような感じになりそうですか?

ZEN「実はもうMVに関しては構想があって、監督も決定しています。音と世界観がバッチリはまるかなと思いますので、乞うご期待です」

――それではMikiki読者にメッセージを!

KIRIN「こうやってご挨拶できて嬉しいです。ZENと僕のプロジェクトに期待していただき、今後も頻繁にお目にかかれるよう願っています。ARIGATO~!」

ZEN「読んでもらって感謝です。何かFEELしてもらえましたらぜひサポートをお願いしたいです。“theFunkluv”をよろしくお願いいたします!」