Every Little Thing
静も動も、優雅かつ落ち着いた佇まいで……

 

 一昨年の配信シングル“アクアマリンのままでいて”のアレンジを手掛けたのは小西康陽だったが、この組み合わせがごく自然に感じられることが現在のELTのありようを象徴しているかもしれない。近年の彼らはフォーマットに縛られることなく、スタイリッシュで多彩なスタイルのポップスを展開しているのだ。12枚目のオリジナル・アルバム『Tabitabi』も、たおやかなワルツ“このは”からバグルス調のエレポップ“ANATA TO”、ディスコ・ブギーなトレンドを汲んだオリエンタルな英語詞曲“Little Dancer”に至るまでが詰め込まれているし、洗練の度合いを深めたアレンジの采配が全12曲にひとつのトーンを与えているように思える。ミッドテンポを主軸にしたアッパーすぎないサウンドの温度感も心地良く、そこから醸し出される優雅で落ち着いた佇まいはデビュー20周年のキャリアあってこそ、なのかも。滋味深くもキャッチーな、純度の高いポップス集だ。なお本作は単体だけでなく、ベスト・アルバムとのカップリングによるさまざまな形態(最大で映像作品を含めて10枚組!)でも発表されている。

Every Little Thing Tabitabi avex trax(2015)

 そして、同作から間を空けることなく矢継ぎ早に登場したのが47枚目となる両A面シングル『KIRA KIRA/AKARI』だ。“KIRA KIRA”はクラムボンmitoが作・編曲を担っており、ストリングスとホーンを搭載したアンサンブルが疾走感たっぷりに駆け抜けるドラマティックな美麗チューン。もう一方の“AKARI”は、メランコリックな叙情が持ち込まれたバラードに仕上がっている。ELTの備える動/静の魅力を共に焼き付けた一枚と言えるだろう。 *澤田大輔

Every Little Thing KIRA KIRA/AKARI avex trax(2015)