6人組アイドル・グループ、アイドルネッサンスが2月28日に、東京・恵比寿LIQUIDROOMで、セカンド・ワンマン・ライヴ〈エビスですこぶるネッサンス!!〉を開催した。
アイドルネッサンスは2014年5月4日に結成。時代を越えて愛される楽曲を10代のフィルターを通して歌とダンスで表現し、〈名曲ルネッサンス〉をコンセプトに活動をしている平均年齢15歳のグループ。ライヴを重ねて培ってきた歌とダンスは実にエモーショナルだ。
昨年10月4日に行われた、アイドルネッサンス初のワンマン・ライヴ〈エビスではじまるネッサンス!!〉では、19曲連続で楽曲を披露する激しいライヴが繰り広げられたが、勢い任せになっていたところもあり、メンバー自身、悔いの残るものとなってしまった。その悔しさをバネに、リヴェンジと成長を見せるべく挑んだのが今回のライヴだ。
会場の恵比寿LIQUIDROOMと言えば、ロックやクラブ・ミュージックの名演が繰り広げられてきた屈指のライヴハウス。そのステージに立つアイドルネッサンスを撮影したのは、フォトグラファーのMITCH IKEDAだ。彼は80年代後半から、国内外の名立たるミュージシャンを撮影。気難しさで知られるオアシスのギャラガー兄弟から、日本人で唯一楽屋に入ることを許されている写真家というだけでも、彼の凄さがわかるだろう。さらには、マニック・ストリート・プリーチャーズ、プライマル・スクリームなどからも絶大な信頼を置かれており、国内ミュージシャンでは、吉井和哉、ASIAN KUNG-FU GENERATIONなどを撮影してきた。イギリスの〈グラストンベリー〉をはじめ、〈FUJI ROCK FESTIVAL〉〈SUMMER SONIC〉など数々のフェスでのシューティングも行っている、まさにロックを撮る歴戦の強者だ。今回のライヴでは、彼がアイドルネッサンスの放つ熱きパッションを数々の写真に焼き付けている。
さてライヴは、当日にチケットがソールドアウトとなって会場は超満員。観客の熱気が漲るなか、宮本茉凜、百岡古宵、石野理子、南端まいな、比嘉奈菜子、新井乃亜がステージに登場し、“Music Lovers”からステージをスタートさせる。クールさとグルーヴ感溢れるナンバーを、眩いライティングに包まれて歌うメンバー。石野のソロ・パートの歌のエモさ、間奏で見せるサックスの音色に乗った6人の力強いダンスは、大人っぽいカッコ良さを感じさせた。続くダンサブルな“BANZAI”で、観客をガンガンにアゲていく。メンバーは、すでに会場内の空気をコントロールしている。
自己紹介を挿んで、アイドルネッサンスの楽曲のなかでも可愛いらしい曲である“テレフォン No.1”“う、ふ、ふ、ふ、”といったキャッチーなナンバーを歌唱。明るいメロディーの広がる“Good day Sunshine”では、観客を煽って一体感を作っていく。
今回のライヴでは、初の試みとして、アコースティック・バンドでの楽曲披露に挑戦。ダンスなし、歌のみでの表現となるだけに、メンバーは大緊張。ギター、パーカッション、キーボードをバックに、“YOU”と“スパイダー”を歌唱する。アイコンタクトを取り、しっかりとしたヴォーカルを披露する6人。アイドルネッサンスの武器のひとつであるハーモニーも、これまで以上に磨きがかかっていた。
中盤では、3月22日にリリースされるファースト・アルバム『アワー・ソングス』のリード曲、高野寛の“ベステンダンク”を初披露。6人は、爽快なメロディーを、ターンやしなやかなダンスを織り交ぜてパフォーマンスした。メンバーが観客のハンドクラップを誘うと、“あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう”を歌唱する。曲の終わりのサビのリフレインでは、会場全体が大合唱。ステージを広く使い、声を上げてすべての観客を自分たちのライヴに巻き込んでいくメンバーには、頼もしさすら感じた。“金曜日のおはよう”“恋する感覚”で、ライヴのテンションはますます上昇。熱量の高まった会場にドロップされたのは、アイドルネッサンスがデビュー当時から歌い続けてきた、代表曲でキラー・チューンの“17才”。汗だくで髪をなびかせた渾身の歌とダンスで、会場のヴォルテージをさらに高めていく。この曲の肝と言っていい、変則コードからのサビのインパクトは、何度聴いてもたまらない。間奏で見せる新井のジャンプもバッチリと決まっていた。
いよいよライヴもラストスパート。ソリッドなロック・チューン“夜明けのBEAT”、ワイルドかつパワフルな“リベンジ”と攻めたてる。6人の圧倒的なパワーに、観客も強烈な歓声で応えていく。さらに勢いの詰まった“シルエット”を畳み掛けるアイドルネッサンス。突き抜けるメロディーを力いっぱい歌い、最後のポージングが、後ろからの照明でリアルにシルエットとなって浮かび上がった。
ここでメンバーから、今回のライヴの感想が語られる。リーダーの新井は、〈私たちアイドルネッサンスのために、ここに皆さんが集まってくれたこと、一緒に熱い空間を作ってくれたことがほんとに嬉しいんです。欲を言えば……もっとたくさんの皆さんと一緒に、この熱い景色、熱い空間を共有していきたいです。私たちは、みなさんにライヴを楽しんでもらいたいという気持ちを一番に、いつもレッスンに取り組んでいます。なので、皆さんは、ライヴを楽しむ以外何も考えなくていいです。これからも私たちと一緒に、楽しいライヴを作って、私たちと一緒にずっとずっと走っていってくれたらと思います。私たちアイドルネッサンスはまだまだ走り続けます。みなさんが追いつけないくらい、速く走っていきたいと思っています。これからもアイドルネッサンスのことをどうぞよろしくお願いします!〉と思いの丈を述べると、観客から大きな拍手が送られた。
新井は続けて、〈周りのすべての方に感謝を込めて、そして私たちアイドルネッサンスがもっともっと大きくなっていきたいという気持ちを込めて歌いたいと思います〉と語り、夢に向かっていく思いを歌うナンバー“Funny Bunny”を披露する。6人が一丸となって、全力でライヴを駆け抜け、汗だくになりながらこぶしを胸に当て切実に歌い上げる。彼女たちの目には、揺るぎない自信を感じさせるほどの強さがあった。大歓声と拍手に包まれるなか、メンバーはこの瞬間を噛み締めるようにフロアを見つめる。そして、深々と長いお辞儀をして、ライヴ本編を締め括った。
アンコールでは、カリプソとスカのフレイヴァーたっぷりな“太陽と心臓”で温かいムードを作り上げる。そして大切なお知らせとして、結成2周年を記念したワンマン・ライヴ〈シブヤで2周年を感謝するネッサンス!!〉を、5月4日(水・祝)に東京・TSUTAYA O-EASTで開催することを発表した。3か月という短いスパンでのワンマン・ライヴ開催は、ここからさらにスピードを上げて前進していきたいという彼女たちの意思表示にも受け取れた。宮本は、〈これからもっと駆け抜けて、5月4日のO-EASTで満員の景色を見たいです。そして、また熱いアイドルネッサンスの夏がやってきます。皆さんと誰よりも熱くしていく気満々です。夏に向けてこの曲を歌いたいです〉と声を上げると、サマー・チューン“Dear, Summer Friend”を披露。一足お先に、会場を夏モード全開にして、ステージはフィニッシュとなった。
緩急を付けた選曲、アコースティック・パートなど、自分たちの持つさまざまなスタイルを見せたアイドルネッサンス。6人の歌のコンビネーションとハーモニー、ダンスのしなやかさと力強さは、前回のワンマンから確実に進化を遂げていた。実直でいてエモーショナルな、彼女たちの真の魅力が存分に詰まったパフォーマンスには、グッと込み上げるエナジーが漲っていた。メンバーのステージにかける真剣さ、観客全員を楽しませたいという心からの思いは間違いなく伝わった。まさに、未知なる可能性しかない、アイドルネッサンスの底知れぬパワーを感じ取れる充実のセカンド・ワンマン・ライヴだった。