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[特集]ZOKKON OF THE YEAR 16→17
恐るべき地殻変動に揺れつつ、やはり2016年も理屈抜きでいい作品はいっぱいあった!と言いたいし、2017年もきっと楽しいものが楽しいと思っていたい!
★Pt.2 ハロプロ関連作やBILLIE IDOL®、夢アドら2016年が生んだ必聴盤の一部を紹介!
★Pt.3 Party Rockets GTの待望作、BiSHの野音ライヴ映像作品など新年彩る注目盤
前年の特集を読み返すと、この前書きでまさにSMAPのことを書いていました。それと規模は違えど、年が暮れても明けてもドラスティックな出来事はいろいろと勃発していて、それはいわゆるZOKKONの界隈においてもそれは例外ではありません。
思い返してみれば、2015年ぐらいからいよいよ時代の色合いが変わりはじめ、ブームの礎を築いた顔ぶれやシーンの核を成す面々が選手交替する様子も2016年は目立ちました。同時に、演じ手も受け手も、その外側にある世間の目も一定の成熟を経たためか、往時のアイドル音楽に感じられたようなフレッシュなおもしろさに出会える機会は少なくなってきているのかもしれません。そうした状況や市場規模の話題などから〈冬の時代〉を囁く声もあるようですが、とはいえ、それでも新顔がまだまだ生まれ続けている様子を思うと、一定の収束はしながらもシーン自体は確実に定着しているのかもしれません。いずれにせよ、ZOKKON的な目線では相変わらず興味深い名品が続いて、またしてもこの界隈の奇妙な厚みを改めて証明したのではないでしょうか。ってことで、ここでは2016年の良作/良曲からごく一部を振り返ると共に、新年最初の期待すべきリリースについても紹介していきましょう! *bounce編集部
BEST 20 ALBUMS
アルバムが豊作だった年を象徴する20枚!
〈OPUS OF THE YEAR〉で『KiLLER BiSH』は選出したので、ここではインディー時代の2作目を紹介。“デパーチャ−ズ”や“beautifulさ”などラウドで優しいパンク・サウンドの妙を活かし、楽曲世界や歌唱の人間味を引き出した名盤だ。ともかく、飛躍の一年はここから始まった。 *出嶌
2014年のメジャー・デビューを機に、90年代の渋谷系や北欧ポップを匂わせる洒落たサウンドに変貌したキュートなデュオ。この初フル・アルバムは、よりメロウによりダンサブルに、20代前半女子のリアルな日常を織り込みながら放つミドル・テンポ・マジックのオンパレード! *久保田
古今の邦楽ポップスやロックをカヴァー/ルネッサンスすることを使命とするホワイトラビットたち。名曲にふたたびスポットを当てつつ、昨今のアイドルにおいては希少種となってしまった清楚でしとやかなキャラクターを、その歌声とルックスから放っていった姿は実に眩しかったな~! *久保田
ドキュメンタリー映画やバスツアーも話題になった2人だが、弛まずに良作を出してくるのがいいところ。アングラ感を纏ったポスト・パンク精神の横溢が好印象なこの2作目では、キュートな歌の輪郭も明確になってきた。この後の『スリー』におけるフロアライクな進化も併せてチェックを! *出嶌
現行の6人組になって5周年の節目に登場した意欲的な大作。Tom-H@ckを軸に多彩なアレンジャーを起用し、トライも交えながら安定感とジェットコースター感が表裏一体となった〈らしさ〉を改めて再定義。年始の先行配信から年末のベスト盤に至るまで、一年を通じて話題でしたね。 *出嶌
“命は美しい”から始まる頭4曲のシングル・ラッシュも痛快ではありますが、何と言っても名曲“きっかけ”の誕生が本作のハイライト。メンバー各々の個性を際立たせた新曲も満載で、もはや優秀なソロ・アイドルの集まりと化している感のある無敵ぶりにズッキュン!と胸打たれます。 *久保田
メジャー・デビューやバンドを従えてのツアーなど一年を通じての大きな実りは、本作の爆発的なヤバさが起点となっていたはず。漲るシャウトを携えた電化ラウド系の轟音という代名詞的なサウンドだけでなく、ピアノ・ロックやアコースティック曲などの生々しい振り幅も味わいどころだ。 *出嶌
別れや未来への希望をテーマにした雰囲気はスパガの2作目にも重なり、一歩踏み出す“SKY GATE”や長年のファンなら泣ける“WE ARE THE GREATEST NINE9”などが実際にエモい局面を演出しまくる2作目。合間には“Happy Fancy Music”“SUPER STAR”などポップな快曲が盛りだくさん。 *出嶌
2016年は一時的な5人体制で“雨と涙と乙女とたい焼き”をリリースし、その後6人に戻ってここから……というタイミングでの解散。この最後の置き土産はユニット曲も含む全部入りの内容で、浅野尚志や清竜人ら多彩な裏方が発揮したポップな遊び心の何たるかを改めて堪能できる。 *出嶌
90年代UKロックやシューゲイザー、バルカン・ビート、アノラックなど、ロック系アイドルのなかでもひときわ個性的なサウンドを選んできた彼女たち。この2作目では、アイドル稼業の哀切を綴ったブルース・ナンバー“BUDDY”をはじめ、さらに貪欲な音楽性の拡張にトライ。 *久保田
照井順政(ハイスイノナサ)の采配でポスト・ロック色の濃いサウンドを発信する4人組の初作。可憐で繊細な歌声と研ぎ澄まされたリズムのタイトな機能美が、人工的でいて絶妙なオーガニックな音風景を気持ち良く響かせます。DALLJUB STEP CLUBメンバーらの助力も話題に。 *出嶌
波乱万丈な前年の動きで話題になりつつ、結成10年を逞しく突破したチャオベラ。4人で初となるこの記念碑は、持ち前のポジティヴなライヴ感で攻める楽しい一枚に。幕開けの“True Hearts ~ファンタスチック4~”や“キャモン!~主役は私だ!(お前もな!)~”など熱い名曲揃い! *出嶌
新潟は古町の4人組がデビュー5周年で作り上げたマスターピース。地元の海をテーマに何気ない一日の時間の流れを美しく表現したもので、AORやシティー・ポップを下地にした高純度な良曲集として話題になりました。参加が決まっているPENGUIN DISCからの展開も今年は楽しみ! *出嶌
林愛夏のひたむきな歌唱はもはや宝。JAPANを名乗ってから初のアルバムは、前山田健一や鶴の秋野温ら多彩な作家陣を迎えつつ、アンセムへと育った“夜明けBrand New Days”をはじめとする堀江晶太のストロングなメロディック・ナンバーにやはり胸を打たれました。 *出嶌
ソロ・デビューから2年半を経てのファースト・アルバム。ノスタルジックなサウンド観も魅力だけど、ジェーン・スー、大森靖子、夢眠ねむ、作家の加藤千恵らによる凛々しい女性詞のハマリ具合がやはり秀逸。ゆるりとした雰囲気のなかにも、才女っぷりをさりげなく光らせてました! *久保田
崖っぷちの状況で生まれた改名後の初アルバムは、結果的に4人体制で唯一の作品に。夢心地なダンス・ポップ“sugar”で幕を開け、POP時代にはなかったタイプのエモいロックなど、幅を広げたサウンドで個々の色を堪能できる充実の佳作。今年は7人でのアルバムも聴けるかな? *出嶌
プー・ルイと新メンバーで再起動しての初作。過去曲のリメイクでは曲自体の良さを再認識できるし、新生への思いを込めた“BiSBiS”やメロコアの名曲“CHANGE the WORLD”などの新曲ではバンド活動で説得力を増したプー・ルイの歌心に改めて気付かされる。2月にはもう新作が出るって! *出嶌
MVのバズやyumiの脱退など、とにかくいろいろあった2016年のリリスクですが、大江千里まで動員したメジャー初アルバムは、現時点での5人の持ち味を集約した佳作に。まさに初期の『CITY』を思わせる瞬間もあるシティー・ラップの名演揃いで、リリース後の急転直下で聴こえ方が変わってしまうのはもったいないくらいの一枚でしょう。 *出嶌
変わりゆくハロー!プロジェクトにあって、その次代を担う8人のファースト・アルバム。チャート首位のヒットも掴んだ勢いそのままにアクとコクのあるナンバーを満載していて、華やかでファンキーなシングル群の印象を活かしつつ、フォークや演歌、ブルース調のナンバーまで披露してくれるのがおもしろいです。今年はつばきの奮闘に期待を! *出嶌
結成10年目(とは言っても結成時のメンバーは皆無)にして届けた初アルバム。現メンバーになって半年ということで過去曲はすべて再録。当初からの看板だったエレクトロなサウンドにAORテイストのポップ・チューンなども加えて、絶賛進化中の姿をスリリングにドキュメント。 *久保田