いわゆるアイドルが〈何でもアリ〉なアイデアの実験場となって久しい日本だが、どうしてもある種の極北がパンクとして持て囃される傾向の強い界隈だけに、例えば曲調やヴィジュアルも含めてK-Popを媒介して輸入された欧米メインストリーム的な美意識は、(リア充なノリとの食い合わせもあるのか)当人たちの志向に反して追求しづらい領域なのかもしれない。そんななかで上手くバランスを取りながら良曲を生み出してきたのが、2013年より現体制で動くこの10人組である。直球なEDMマナーの“Do You Believe?”に代表されるその本質はこの初アルバムのジャケが醸し出すイメージからもわかる通り。3形態リリースでDisc-2の中身がすべて違うというハードルの高さは無念だが、アッパーな最新シングル“Fine! ~fly for the future~”や純粋な新曲“Tears in the sky”など楽曲はどれもポップで高水準だ。インディー期の音源や武田舞彩のソロ曲も収めた区切りの一作であると同時に、界隈の数年後を占う試金石といえるかもしれない。