前作から約5年、この期間に彼女は出産と祖母の逝去を経験する。その経験が本作の「生と死」というテーマに繋がっている。iPhone6のCM曲に起用された《walk walk》や冒頭の《I walk until》等、未来に希望を持って前に進む姿勢が軽快なリズムで表現されている一方、ギターの弾き語りで生から死へと向かう現実を重く、強く意識していることを表現している。また《Meme Iren Song》では、街中の雑踏音の中流れるインディアンハーモニアムが祖母との思い出を走馬灯のように表現している。まるで彼女と公私共にパートナーのデヴィッド・ドナシャン二人の人生を垣間見ているようなそんな作品に仕上がっている。

 


不思議な色合いを浮かべた無国籍ポップで人気を博すフランスの才媛が、5年ぶりの新作を発表。デヴィッド・ドナシャンとの間に娘が誕生するなど、生活環境の変化が曲作りに影響を与えたようで、プロダクションの面でも明暗を行き来する振り幅がやたら広くなっていたり、以前にも増してカラフルさが際立つ結果に。ジョー“ジガブー”モデリストのとびきり軽快なドラミングで盛り上げる“Walk Walk”が、とにかく楽しくて!