メンバー脱退を経ての新作は、桃野陽介の弾き語りをメンバーが肉付けする、アマチュア時代の手法に戻った原点回帰作。つまり桃野の音楽性と人間性がすべての中心で、両親の恋愛を歌う“MOTHER”や上京当時の思い出を綴る“冬、今日、タワー”など、極めてパーソナルな世界をロマンティックに描く詞が胸を打つ。原点である90sのUKロックパワー・ポップを援用した音作りも素直に楽しめる。再起作として最良の出来だ。