FIFTH HARMONY
人気を決定付けるダメ押しの一撃! パワフルなハーモニーでいま世界を動かす!!

 ここに完成したセカンド・アルバム『7/27』のタイトルにもあるように、2012年7月27日に誕生したフィフス・ハーモニーは、リトル・ミックスと共に2010年代を象徴するガールズ・グループとして確固たる地位を確立した――そう言っても過言じゃないだろう。US版「The X Factor」にソロで応募した5人の女の子――アリー、ローレン、カミラ、ノーマニ、ダイナ――が審査員の提案でグループを結成したという経緯は、よく知られている話だ。

FIFTH HARMONY 7/27 Syco/Epic/ソニー(2016)

 「グループって形態をおもしろくするのはタイプの違う人が集まった時の化学反応であり、私たちは自然な形で出会ったわけじゃないから、メンバーが極端に違う。出身地も音楽観も唱法もキャラも。違えば違うほど化学作用はおもしろくなるのよ」とカミラが語る通り、彼女たちは個性派集団であることをウリに、以後、時間をかけてファンを増やし、セールスを上げてきたが、今作をファースト・アルバム『Reflection』の進化形とみなしているとあって、あらゆる面でスケールアップを遂げている。対等にパートを受け持つ5人のパワフルな歌声然り、ヒスパニック系+アフリカ系+ポリネシア系というマルチカルチュラルな構成を映した雑食的なサウンド志向然り。

 「過去1年間に大きく成長したから、自分たちが何を語りたいか、それをどう曲に落とし込む込めばいいか、アーティストかつ女性としてどう受け止めてほしいか、以前より明確にわかっていたわ」とノーマニは説明する。

 プロデューサーに関しては、前作から引き続きスターゲイトが多くの曲を手掛けたほか、マックス・マーティン率いるMXMをはじめ、トップクラスの面々がサポート。エレクトロ・ポップ、R&B、レゲエ……と、曲ごとに音を塗り替えている。また、先行シングル“Work From Home”にはタイ・ダラー・サイン、“All In My Head(Flex)”にフェティ・ワップ、そして、図らずしてプリンスへのトリビュートに聴こえる“Not That Kinda Girl”ではミッシー・エリオットが参加し、ゲストも豪華極まりない。

 そんな多様なアルバム全編を貫くのは、何と言っても5人のアティテュードだ。セクシー度を倍増させた“Work From Home”を筆頭に、恋愛と友情とキャリアを巡る、平均19歳の等身大で強気な主張が、1本の太い糸として浮かび上がる。それはバラバラな個である彼女たちの接点。ひとりでも十分強いが、集まればさらに逞しいのがフィフス・ハーモニーなのである。