BOOM BOOM SATELLITES
常に前線を歩んできた二人、感動の最終形態

 BOOM BOOM SATELLITESの最終作となる全4曲、22分の旅。脳腫瘍の後遺症によって音楽家としての役割を終えた川島道行と中野雅之が足を止めることなく、限界まで戦いを続け、まだ見ぬ明日を照らす光のような作品『LAY YOUR HANDS ON ME』を残してくれたことに、ただ感謝の念しかない。

BOOM BOOM SATELLITES 『LAY YOUR HANDS ON ME』 ソニー(2016)

 開放的に疾走する冒頭からアンビエントな静寂へ辿り着くラストまで、このエレクトロニック・ミュージック集は、この世に受けた生が音楽によって浄化され、宇宙の彼方に突き抜けていく、そんな壮大な軌跡を描いたものであり、〈セカンド・サマー・オブ・ラヴ〉の渦中で誕生したダンス・ミュージック・シーンの先駆的ライヴ・アクトの音楽が、最終形態へと進化する過程を映し出した一枚でもある。彼らの音楽が鳴り止んだとしても、その声に、トラックに込められたエネルギーがいつまでもリスナーを触発し続ける――そんなマスターピースが僕らの手に。