エスキビートからの『Original Dan』(2009年)はあったものの、ようやくの晴れ舞台と言ってもいいだろう。ペイ・アズ・ユー・ゴー時代からワイリーと行動を共にし、ロール・ディープで脚光を浴びたヴェテランの凄みは、意外にもトゥルー・ソーツから出たこのニュー・アルバムで完全に開花している。近年はスウィンドルモードステップの楽曲でもディープな声の威力を乞われていた彼らしく、本作でもアニメイの幻想的なコーラスを纏ったケイト製の冒頭曲“Chosen”やクリプティック・マインズらしいパーカッシヴなダブステップ“Judgement”から、ラガ交じりの重々しいフロウで静かに放熱。鋭角的なマンガのフロウと対を成すスウィフタ製の“Dons And Divas”、ティンチー・ストライダーを迎えた“Gunfingers”のような豪速球グライムでの着火ぶりもヤバい。ハイパーダブに残した『Serious Business EP』(2014年)の暗黒の先も覗いてみたかった気はするが、対応力の高さも提示した文句ナシのマスターピースだと思う。最高。