レス・クレイプールとショーン・レノンが誘う轟音アングラ・サイケの世界!
何の予備知識もなくこの『Monolith Of Phobos』を聴いたら、次々と飛び出す奇天烈な音の渦に呆然とする以外ないはず。しかし、本作がショーン・レノンとレス・クレイプール(プライマス)による新ユニット、クレイプール・レノン・デリリウムのアルバムだと知れば、合点のいく人も多いのでは?
互いの共通の嗜好である60sアングラ・サイケを基盤とした音楽性は、イマドキのお洒落なサイケ・ポップとは百万光年ほど離れた、非モテ度高めのグルーミーっぷり。すべての楽器を2人で演奏しているのだが、USオルタナ界随一の超絶技巧派であるレスの極太爆音リード・ベースが尋常ならざる存在感を放つサウンドは、ショーンが叩く絶妙なタイム感のドラムスや妖しげなメロトロンの音色まで加わって、先の読めないアクロバティックな展開の連続である。しかしも、そこにショーン印の驚くほど美しいポップなメロディーと歌声が唐突に挿入されるのだから、たまったもんじゃない。もしかすると、彼らは(見た目も含め)フランク・ザッパの衣鉢を本気で継ごうとしているんじゃなかろうか。