デビュー40周年、ファンとともに積み重ねてきた想い出の曲をピアノ・ソロで
9月6日、紀尾井ホールの追加公演は、誕生日スペシャルプログラムを披露!
デビュー40周年を迎えた大江千里のピアノ・ソロ・コンサートが紀尾井ホールで行われた。彼がシンガー・ソングライターとしてデビューしたのは1983年のこと。その後、2008年に渡米して大学でジャズを学び、現在はNYを拠点にジャズ・ピアニストとして活動している。
そんな彼のコンサートは、“YOU”から始まり、“十人十色”、“格好悪いふられ方”などのヒット曲と新曲がエネルギッシュに演奏されていく、大江千里の音楽人生を凝縮したような90分超となった。本来なら2部構成で休憩を挟むべきだけれど、時間がもったいないと、10曲を演奏したところでスタインウェイ&サンズのグランドピアノの周りを歩くことで休憩とするなど、チャーミングな人柄が随所に。途中で何度も挟み込まれたMCで、観客は彼の声を聴き、「魂を指に込めて、歌詞が聴こえてくるようなピアノを」といった言葉で思いに触れていった。
実際に曲はジャズのアレンジではあるけれど、演奏から歌が聴こえてくる。そう思って視線を彼の指から顔に移すと、“Rain”でも声を出さずに歌っていた。その一方で、“格好悪いふられ方”では歌だけでは表現できない曲の背景にある心情、もっと言えば、作曲した20代では表現できなかっただろう大人の叫びのような孤独感、哀愁がピアノから伝わってきた。
21曲+アンコールでピアノを弾きまくったコンサートは、曲順を含めて構成もよく、ポップ・シンガーとして培った観客をエンターテインさせる気持ちが「サンキュー!」といった言葉やパフォーマンスに表れていて、紀尾井ホールに歓びの拍手が鳴り響く。後半の“Stella’s Cough”では手拍子が起こり、一気に会場の空気が熱くなっていった。
MCで「私小説をポップスにする」という言葉があった。40周年記念アルバム『Class of ’88』の“88”もそれが彼の中で成立したアルバム『1234』をリリースした1988年にちなんでいるというが、大江千里は、音楽で物語を紡ぐ人。歌のないポップ・ソングやボサノバ調の新曲“ラウロ・ジ・フレイタス”を聴きながら、根っからのストーリーテイラーなのだとあらためて感じた。
最後の“Avec”が終わった後もアンコールの儀式を省略して、会場が笑い声に包まれるなか、速攻で演奏を再開させて、代表曲を次々にメドレーに演奏していくと、今度はあちこちから鼻をすする音が聞こえてくる。それぞれの想い出が大江千里の曲と重なり、感情を揺さぶられたのだろう。積み重ねてきた40年を強く感じる瞬間でもあった。
LIVE INFORMATION
40th Anniversary Celebration『大江千里 Premium Piano Concert Door Number “YOU”』
■札幌
2023年8月29日(火)北海道・札幌 ペニーレーン24 ※終了
■東京
2023年9月1日(金)東京・紀尾井町 紀尾井ホール ※終了
■西宮
2023年9月2日(土)兵庫・西宮 兵庫県立芸術文化センター 大ホール ※終了
■広島
2023年9月3日(日)広島・BLUE LIVE 広島 ※終了
■福岡
2023年9月5日(火)福岡・電気ビル みらいホール
開場/開演:18:00/18:30
チケット:10,000円(税込/全席指定)
https://www.bea-net.com/liveinformation/artist/2309ooesenri.html
■東京追加・千里バースデースペシャルライブ
2023年9月6日(水)東京・紀尾井町 紀尾井ホール
開演:(昼)15:30/(夜)19:00
出演:大江千里
特別出演:新月会(関西学院グリークラブOB会) ※西宮公演
チケット価格/ペアーチケット(2枚):5,500円/お1人5,000円(いずれも全席指定/税込)
演奏曲:大江千里のポップス作品のセルフカバーピアノ作品&最新ジャズピアノ作品から選曲
お問い合わせ(東京公演):ディスクガレージ http://www.diskgarage.com/
主催&企画制作:RENAISSANCE CLASSICS
後援:エフエム東京(東京)/FM COCOLO(西宮)
協力:ラジオ関西(西宮)/ソニー・ミュージックレーベルズ/ソニー・ミュージックパブリッシング/ディスクガレージ(東京)/夢番地(西宮)
https://classics-festival.com/rc/performance/40th_senri-oe_piano/