ジャズがふたたび盛り上がって久しい昨今ですが、その歴史が幕を開けたのは1917年2月26日のこと。ニューオーリンズの白人ジャズ・バンド、オリジナル・ディキシーランド・ジャズ・バンドが史上初めてジャズを名乗った商業用レコードを発表したとされています。そのタイトルは“Livery Stable Blues”。馬や鶏の鳴き声(を模した演奏)も聴こえてくる賑やかなナンバーで、レコードもよく売れたそうです。YouTubeにアップされているので、まずは聴いてみましょう。

この1枚からカウントすると、もうすぐやって来る2017年でジャズは生誕100周年。そんなメモリアル・イヤーを祝福すべく開催されるのが〈JAZZ@HALL〉です。長い歴史のなかでハイライトを刻んできたスタンダード、ジャズのオリジナル曲、そして未来に向けて伝えるべき新曲をホール規模で楽しもう、しかも一流アーティストによる演奏で――という趣旨の名曲コンサートで、今年5月に行われた第1回は(Mikikiでもお馴染みの)大西順子石若駿らが出演してソールドアウト。そして待望の第2回が、2017年1月15日(日)に東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホールで開催されます。ではさっそく、今回の見どころを紹介していきましょう。

 

大林武司ニューヨーク・トリオandケイコ・リー

NYを拠点とし、ホセ・ジェイムズ黒田卓也のバンド・メンバーとしても知られるジャズ・ピアニスト、大林武司が登場。ジャズ・ピアノの王道とモダンなビートが共存した新作『Manhattan』をリリースしたばかりの実力派が、同作のレコーディング・メンバーでもあるネイト・スミス(ドラムス)と中村恭士(ベース)と共に、世界的ディーヴァのケイコ・リーと共演します。大林と言えば、若手ジャズ・ピアニストの登竜門〈ジャクソンヴィル・ピアノ・コンペティション2016〉で日本人初のグランプリに輝くなど、その腕前は折り紙つき。しかも今回は、グランプリ受賞曲“IN WALKED BIM”が国内初披露されるそうです。

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Photo by Masamitsu Tomita(寺井尚子)

栗林すみれトリオand寺井尚子

リシャール・ガリアーノリー・リトナーハービー・ハンコックといった大物と共演するなど、世界を舞台に活躍するジャズ・ヴァイオリニストの女王こと寺井尚子と、2014年のデビュー以来、〈誰にも似ていない21世紀のメインストリーム・ジャズ〉〈ジャズ・ピアノのロマン派〉と評されてきた栗林すみれが共演。さらに注目すべきは、大西順子トリオにも抜擢された24歳の俊英ドラマー、山田玲の参加でしょう。ビッグネームと若き才能の邂逅がもたらすケミストリーに期待!

山田玲が参加した大西順子トリオのライヴ映像

 

さらに前回公演では、大西順子&山本剛という日本屈指のピアニストによる連弾や、2人の若き天才ドラマー、石若駿&山田玲がツイン・ドラムスを披露するといったスペシャル・セッションも大盛況でした。今回は果たしてどんなドラマが生まれるのか?  ロバート・グラスパー以降の現代ジャズを追いかける人も、あるいは休日の憩いを求める人も、歴史を学びながら楽しめる貴重なひととき。以下、当日の演奏予定曲からいくつかピックアップしてみたので、こちらを予習しつつホール・コンサートを満喫してみてはいかがでしょう。

チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエヴァーの72年作『Light As A Feather』収録曲“Spain”
ルイ・アームストロング“What A Wonderful World”
ソニー・ロリンズの1956年作『Saxophone Colossus』収録曲“St. Thomas”
マリーナ・ショウの74年作『Who Is This Bitch, Anyway?』収録曲“Feel Like Makin' Love”

 

JAZZ@HALL VOL.2
日時:2017年1月15日(日)
会場:東京・渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール
開場/開演:15:00/15:45(19:00終演予定)
料金(全席指定前売り券):6,300円
進行予定(変更の場合あり)
Part.1:ケイコ・リー&大林武司ニューヨーク・トリオ
Part.2:寺井尚子&栗林すみれトリオ
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