パット・メセニーやブリタニー・ハワードとも共演する広すぎる活動領域

ネイト・スミスが、2025年2月25日(火)にビルボードライブ大阪、2月27日(木)と28日(金)にビルボードライブ東京で公演を行う。2024年3月に大林武司、ベン・ウィリアムズとのTBNトリオとしてのコンサートを行って以来の来日公演だ。

2010年代以降はジャズミュージシャンでもひとつの楽器や道を極めるのではなく、マルチプレイヤーやプロデューサーといった要素を持つアーティストの活躍が目覚ましい。アメリカのドラマーでもクリス・デイヴ、カリーム・リギンス、ジャマイア・ウィリアムス、マーク・ジュリアナ、ケンドリック・スコット、ロナルド・ブルーナー・ジュニア、カッサ・オーバーオール、マカヤ・マクレイヴン、マーカス・ギルモアなどがそうしたアーティストとして挙げられ、彼らはときにビートメイカーやサウンドクリエイター的な役割も果たす。こうした中で、ジャズドラマーとビートメイカーを兼ねる代表格がネイト・スミスだ。

1974年生まれのネイト・スミスは、世代的にはクリス・デイヴやカリーム・リギンズと同じで、ア・トライブ・コールド・クエストなどヒップホップのニュースクールから、ヒップホップバンドのザ・ルーツらを聴きながら育ち、J・ディラの作り出すビートに大きな影響を受けてきた。

ネイトはドラムのレッスンと並行して、サンプラーやドラムマシンを使ってビートメイクをすることが自然な状況で育った。ドラマーとしてのキャリアは輝かしいもので、ベティ・カーターのバンドに抜擢されて頭角を現し、2000年代半ばよりデイヴ・ホランド、クリス・ポッターといった大物たちのバンドで演奏してきたことで有名だ。

共演者もパット・メセニー、ラヴィ・コルトレーン、ニコラス・ペイトン、ジョン・パティトゥッチ、アダム・ロジャース、レジーナ・カーター、ノラ・ジョーンズ、マーク・ド・クライヴ=ロウからジョー・ジャクソンと多岐にわたる。アラバマ・シェイクスのブリタニー・ハワードや、ポール・サイモンのアルバムでも演奏するなど、ジャズ界のみならず幅広い業界から注目されるアーティストなのだ。