カルロス・クライバー、ジョルジュ・ドンら超一流の芸術家を日本に招き、ミラノ・スカラ座、ウィーン国立歌劇場の引っ越し公演を実現。1964年に東京バレエ団を創立し、700回以上の海外公演を成功させるとともに、モーリス・ベジャールに名作「ザ・カブキ」を作らせた人物、佐々木忠次(1933~2016)の舞台芸術への一途な愛と、夢の実現への妥協なき姿勢と猛烈なバイタリティを描いた一冊である。資料収集や本人を含む関係者への取材は綿密を極め、本人にとって不都合な点まで臆することなく活写した本書は、〈日本のディアギレフ〉と称賛されたこの一代の傑物の評伝として高い価値を放ち続けるに違いない。