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[特集]ZOKKON OF THE YEAR 16→17
恐るべき地殻変動に揺れつつ、やはり2016年も理屈抜きでいい作品はいっぱいあった!と言いたいし、2017年もきっと楽しいものが楽しいと思っていたい!
★Pt.1 BiSHや乃木坂46、RYUTist…アルバム豊作の2016年を象徴する20枚!
★Pt.2 ハロプロ関連作やBILLIE IDOL®、夢アドら2016年が生んだ必聴盤の一部を紹介!
Party Rockets GT
待望のアルバムが登場! 覗いた先に何が見える?
ついにここまできた……という感慨を抱いた人も多いのではないでしょうか。このたびリリースされたParty Rockets GTの『Time of your life』は、グループとしては2枚目のアルバム。ただ、衆知のように前作『TRIANGLE』(2014年)は3人組の時代にParty Rockets名義で出されたもので、それが結果的には3人組での最後のリリースとなってしまっていました。紆余曲折を経験してきたオリジナル・メンバーのHARUKAとFUMIKAは〈CDが出るたびにジャケの人数が違うので〉などと冗談めかしはしますが、もちろん心中は笑い話なはずもありません。
ただ、GTになっての初リリースだった2016年2月のシングル“虹色ジェット”から、7月の“真夏のマジ☆ロケット”が続き、今回の『Time of your life』でもジャケに写るのは自然な笑顔を見せる5人の姿(良いジャケ!)。つまり今回のアルバムは、形を変えることなく走り抜けてきたグループの一年間の集大成であり、強い気持ちと一体感の結晶というわけです。実際のところ、強烈な(?)個性とパフォーマンスのスキルを備えたNANASEとAYUMIがグループ自体を明るく進化させたのは言うまでもないし、加入時は歌もダンスも未経験だったHIMEKAはかわいいキャラを確立し、グランプリこそ逃したものの見事〈ミスiD 2017〉に選ばれました。それぞれのグループへの思いと貢献が、いまの開放的な雰囲気の良さをもたらしたと言っていいのでしょう。
そんなアルバムはここまでのシングル2枚からの楽曲の一部と、グループ初期からの人気曲の5人ヴァージョン、さらにアルバム用のまっさらな新曲で構成されています。オープニングを飾るのは『TRIANGLE』のラスト・ナンバーだった“イマジンな愛の歌”。過去曲では2012年のデビュー・シングル“初恋ロケット”をはじめ、初期からライヴで披露されていた“日常ドリーマー”や“RAINBOW!”、『TRIANGLE』には未収録のままだった“好きすぎて生きるのがツライよ”、そして代表曲と目される“セツナソラ”などが選ばれ、現在の5人の歌唱で生まれ変わっています。GT以降のシングルからは、Swinging Popsicleの平田博信×藤島美音子が初めて提供した“Dream on, Dreamers”や、ミソッカスの書き下ろした“革命センセーション”も並んでいますが、一方でシングル表題曲だった“真夏のマジ☆ロケット”が入っていなかったりもして、いわゆるベスト盤のような内容ではなく、全体的にシリアスでストイックなトーンの楽曲があえてラインナップされたような雰囲気。平田×藤島コンビの提供した新曲“ビューティフルドリーマー”も劇的なハード・ロック・ナンバーです(全曲のアレンジは三宅英明が担当)。
そして、ラストに置かれたタイトル・ナンバーは、スケールの大きなバラード調の新曲。これまでほとんどの曲を手掛けてきた吉水孝之(作詞)が5人で進んでいく未来へ希望を託し、三宅英明(作/編曲)が重厚で凛としたアリーナ・ロック風の佇まいに仕上げています。6月25日には過去最大規模となる赤坂BLITZでのワンマンも控える5人に、もう迷いはなし。あとは未来を掴みに行くだけです。 *出嶌孝次
Party Rockets GTの2016年のシングル。