キューバの新時代を代表する女性シンガー、ダイメ・アロセナの2作目。カマシ・ワシントンとの共作で注目を集めるデクスター・ストーリーを共同プロデューサーに迎えて、芳醇でアフロ・キューバンなコンテンポラリー・ジャズを展開。さまざまなリズムを乗りこなす彼女の歌唱表現もさることながら、ストリングス・アレンジで参加した西海岸のキーマン、ミゲル・アトウッド・ファーガソンの手腕が光る。

 


ピーター・バカラン氏主宰の音楽フェス〈LIVE MAGIC〉に彼女が出演した際、間近で話す機会があった。ジャズやキューバン、ゴスペルなどが血に流れ、力強く、メリハリの効いた歌声から、実はもっと貫禄バリバリの女性をイメージしていたが、実際に会ってみると、本当にまだまだ仕草もあどけないキュートな女の子だったことに驚いた。本作は1曲目からラウドかつスピリチュアル、そしてグルーヴィに展開する。最初の数秒で名盤であることを予感し、楽曲が進むごとに確信に変わる。前作同様、一つのジャンルには括りがたい彼女の魅力が、より自然により威力を増して展開されている。ジャズやラテン好きを自認するならマストな1枚。