エルガーの音楽の精神を表現する上で「ノビルメンテ(高貴な)」という言葉はどうしてもはずせない。高貴かつシンプルに、と掲げられた交響曲冒頭楽章最初の約3分で提示されるモットーは、まさにその真髄を端的に表す。ディスク開巻の弦楽合奏と弦楽四重奏による『序奏とアレグロ』が、弦のみずみずしいしぶきを快く聴かせた後、聴き手の背筋をピンと伸ばしてくれるような、何度でも聴き返したいあの荘重な旋律が立ち上がってくる。遥かなる悠久に思いを馳せるかのような第3楽章に耽溺し、循環を経て最終楽章大詰めで回顧される冒頭主題に心を震わせる。ガードナーとBBC響という英国コンビによるみずみずしい快演!
エドワード・ガードナー、BBC交響楽団、ドーリック弦楽四重奏団 『エルガー: 交響曲第1番、序奏とアレグロ』 高貴かつシンプルに快演
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