ファウストを歌うテノールのジョン・アーヴィンの輝かしく瑞々しい歌声がとても魅力的で、第3部開始や第4部「自然への祈り」のアリアが聴きどころ。カレン・カーギルはラトル盤に続きマルグリートを歌っているが、安定の歌いっぷり。合唱大国イギリスが誇るコーラスも分厚く迫力がある。V・ユロフスキの後任でロンドン・フィルの首席指揮者を担うガードナーは広いレパートリーをChandosレーベルで沢山の録音を行なっている。声楽作品にも秀でていて、この録音はロンドン・フィルから細やかな表現と弾力あるサウンドを引き出している。地獄への騎行のスペクタクルとエピローグの安寧さの対比が素晴らしい。