インタビュー

クセーニャ・シドロワ『カルメン-情熱のアコーディオン』 地中海世界の音楽やジャズの要素含んだ斬新な〈カルメン〉を表現

(C)Gavin Evans/DG

《カルメン》に新しい魅力を加えるアコーディオン奏者

 クラシカル・アコーディオンの世界はクラシック業界の中でもそれほど大きくないが、新たに登場したクセーニャ・シドロワは早くもその枠を飛び越して、大きな話題となっている。プロムスで披露した大胆な〈カルメン〉の演奏は動画サイトでも見ることが出来る。

 「子供の頃の一夏、祖母の家に預けられていたの。そこには壊れたアコーディオンがあって、祖母が教えてくれた。両親が迎えに来た時に、私の伴奏で祖母が歌ったんだけれど、両親は無反応(笑)。でも、その時からアコーディオンが自分の楽器となったの」

 と彼女は語る。ラトビアのリガ生まれ。両親はロシア系だ。とりあえず音楽院に余裕があったので、そこでアコーディオンを学び始めた。マリア・ガセレという先生に師事、さらにロンドンの王立音楽アカデミーでオーウェン・マリーに師事した。

 「クラシカル・アコーディオンの専門の先生というのはなかなかいなくて、基本的にはピアノやヴァイオリンのマスタークラスに参加して、どう演奏するのかを学んで行きました。そんな時にロンドンの王立音楽アカデミーにアコーディオン科が出来たので、迷うこと無くそこに進みました」

KSENIJA SIDOROVA カルメン-情熱のアコーディオン Deutsche Grammophon/ユニバーサル(2017)

 2009年にロンドンのウィグモア・ホールでデビューコンサートを行い話題となる。その頃からずっと《カルメン》を演奏して来た。

 「ラトビアに居た時代からスペインの音楽をアコーディオンでよく演奏していたし、カルメンという女性の生き方にとても共感する部分があって、アコーディオンで《カルメン》を弾き始めたの。私にとってはカルメンという女性は情熱と勇気のシンボルです」

 イギリスのインディペンデント・レーベルから2枚のCDをリリースし、今回はドイツ・グラモフォンから『カルメン』をリリースした。サッシャ・ゲッツエル指揮ボルサン・イスタンブール・フィルハーモニー管弦楽団、ヌエボ・ムンドとの共演によるもので、ビゼーの《カルメン》の音楽から自由にインスパイアされた音楽と言えるだろう。地中海世界の音楽、ジャズなどの要素も含んだ、斬新な世界が広がっている。

 「ヌエボ・ムンドはこれまでに私が出会った様々なミュージシャンの集合体で、ジャズ畑の人も多いので、常に新しい音楽を求めています。それでこのアルバムでもかなり自由に音楽を展開させています」

 美女だけれど、残念ながらすでに人妻。

 「主人はスペイン人で、ホセという名前なのよ(笑)」

 実生活でも、彼女はカルメンのような? 幸運な偶然に遭遇したようだ。

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