最終作も間近なボーン・サグズン・ハーモニーから、クレイジー・ボーン関連の3作が登場!!

 紆余曲折を経てのユニファイ後にクレイジー・ボーンとウィッシュ・ボーンが脱退を表明し、エイサップら後進を介して再評価が広がる最中での『Art Of War WW III』(2013年)にも完全体で臨めなかったボーン・サグズン・ハーモニー。もはや伝統芸とも言える仲と間の悪さだが、その後には案の定5人で関係を修復し、現在はダミザ制作の“More Than Thugs”(2015年)を露払いとした最終作『E.1999 Legends』の完成が待たれているところだ。と思ったらそれに先駆けてクレイジーが自身絡みのアルバムを連投してきた。

KRAYZIE BONE Eternal Legends Real Talk(2017)

KRAYZIE BONE,YOUNG NOBLE Thug Brothers 2 Real Talk(2017)

 まずはソロ作『Eternal Legend』。リアル・トーク産のイレギュラーな作品ではあるが、ロジャー使いの表題曲などメロディアスなフロウに合うボーン仕様のメロウなトラックが用意されていて、これは予想以上の出来の良さだ。同じくリアル・トーク発のもう一枚は、ヤング・ノーブル(アウトロウズ)と組んだ『Thug Brothers 2』で、これはノーブルが10年前にレイジー・ボーンと作った『Thug Brothers』の続編っぽいノリ。良くも悪くも時代を感じさせない作りがふてぶてしい(?)。

 

BONE THUGS New Waves eOne(2017)

 さらには、クレイジーが同僚のビジー・ボーンと組んだ〈ボーン・サグズ〉名義での『New Waves』もダミザの後見で登場した。メンバー間でとみに不仲だとされてきた同士のデュオ結成にはビックリだが……高音ヴォイスでヒラヒラ舞うビジーと煤けた低音のクレイジーという、グループ内でもっとも特徴的な声を持つ両名の合体だけあって、期待を凌ぐボンサグ感が横溢している。ほぼ全曲を手掛けたのはオランダ出身でEDM畑のアヴェドン……と書くと心配する人もいそうだが、壮大なスケール感をスピリチュアルなボンサグ流儀に接合し、現行ヒップホップの作法も弁えた魅力は、スティーヴン・マーリーがエイコン風に振る舞う冒頭から全開。5人勢揃いのハーモニーもいい感じで、これは〈次〉を楽しみに待つ甲斐もありそうだ。