当時33歳、才気煥発のサヴァリッシュがヴィーラントの招きでバイロイトに乗り込んだのが1957年。59年にはこの 『さまよえるオランダ人』を初指揮し、61年公演は名高いステレオ・ライヴで遺った。59年公演のバイエルン放送協会正規音源による今回の初CD化は、既出音源とは圧倒的に次元が異なることを見せつけて圧巻だ。モノながら非常に生々しい音質が、底から空間を制圧するようなバイロイト独特の音響をまざまざと想起させる。ピッツ統率の合唱無双ぶりが炸裂する《水夫の合唱》での底を打つような響き! ロンドンの名唱、若きサヴァリッシュが切り結ぶ鮮烈な音楽の奔流。ワグネリアン必携。
ヴォルフガング・サヴァリッシュ、バイロイト祝祭管弦楽団、バイロイト祝祭合唱団 『ワーグナー: 歌劇《さまよえるオランダ人》1959年8月5日バイロイト音楽祭ライヴ録音』
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