ワーグナーの聖地バイロイトで1951年から、53年を除き13年にわたって「パルジファル」を指揮したクナ。もはやないと諦めていた55年がバイエルン放送協会音源で発見され、晴れて全曲盤が登場、ついに最後のピースが埋まった。音質も上々、第1幕への前奏曲で、底へ、さらに底へと沈み込むように〈信仰の動機〉が幾重にも荘重に重ねられていくくだりなどは、やはりクナにしか表現できない重厚さで横溢。場面転換の音楽での筆致も最高だ。既存の12種をBOXにした夢のような企画さえあったことも懐かしいが、今回の55年盤、すべてのワグネリアン、クナ愛好家のかたがたは迷わずライブラリーにお加え下さい!