「とても現実の人生とは思えない」、という現実に向き合ってきた人の時間につきあってみた。『破壊者』は、エイベックス株式会社代表取締役会長CEOの松浦勝人が半生を語った本。読んでみると、のめり込むこと、のみ込まれては、はきだされてしまうまで付き合う、その繰り返し。「今のままでいいわけがない」という身についた危機感は、繰り返し未踏の領域に彼を向かわせてしまう。ユーロビートにのめり込み、のみ込まれて彼が吐き出してきたものを見聞きしてきた数十年、かれが現実と思えないという時間の中で、われわれは確かにその音楽を踊り、歌ってきた。