人気バンドのプレイヤーたちによる課外活動だけに〈もっとライヴが観たい!〉という声も止まぬなか、結成4年を迎えたスーパー・サブバンドがついに初アルバムを届けた!

ダンス・ミュージックの昂揚感

 CDは出さない、ホームページも作らない、ライヴしかしない。それぞれが多忙なバンドマンでありながら、ユニークな活動形態を貫いてきたPOLYPLUSが、結成4年にして初のフル・アルバム『debut』を完成させた。メンバーは、CalmeraのTSUUJII(サックス)、175RのYOSHIAKI(ドラムス)、JABBERLOOP/fox capture planのMELTEN(キーボード)、同じくJABBERLOOPからYUKI(ベース)という、いわばジャズとロックの混合バンド。4月にファースト・シングル『release』をリリースしたのち、結成時のメンバーであったNeighbors ComplainのGottiが脱退したものの、バンドの意欲はかつてないほどに高まっているという。

POLYPLUS debut Playwright(2018)

 「鉄の掟として、本体のバンドを侵さないことと、ひとりでもスケジュールがNGだったらやらないこと。年に3、4回のペースでワンマンライヴをやって、その日のリハで新しい曲を作って、というサイクルで4年間回ってきました。結果的にそれが良い方向に働いて、たまにしか観れないから人が集まってくれて、演奏もライヴをやるたびにどんどん良くなるから、もうひと押し力を入れたら絶対広がるなと。それがCDを出すことだったんですね」(TSUUJII)。

 リーダーであるTSUUJIIが掲げたテーマは〈ダンス・ミュージック〉。メンバーのルーツにはジャズ、ロック、ソウル、R&Bなどさまざまなエレメンツが存在するが、シティー・ポップ的な洗練に向かうのではなく、より原始的な衝動でオーディエンスを踊らせる方向でバンドは結束している。

 「もともとセッションするのが好きなメンバーで、曲もセッションが映えるようになるべくシンプルな形にして、みんなで一緒に昂揚していく気持ち良さが、このバンドの特徴じゃないかな。ライヴはクラブっぽい会場でやることが多いんですけど、そこにJABBERLOOP、fox、Calmera、175Rのファンが来てくれて、クラブ文化を知らない人もグルーヴを感じながら盛り上がっていく感じが凄くおもしろい」(MELTEN)。

 「言い方は悪いですけど、いわゆる音楽偏差値の高くない人にも届かせたいんですよ。日本でどっちが多数かと言うと、そっちがマスだと思うから。あんまり深く考えずに音楽を楽しんでる人たちにも伝わるものを、ということは常に考えてます」(TSUUJII)。

 1曲目“we gotta luv”を聴けば、バンドの狙いは明らかだ。心地良く身体が揺れるBPM、キャッチーなリフを刻むピアノ、切れ味鋭いカッティング、伸びやかなサックスのブロウ、スラップ・ベース、いかにもロック・ドラマーらしいパワフルな4つ打ちのキック。他にありそうでない、独特のグルーヴが気持ちいい。

 「メンバーがハウスのスタンダードの曲を持ってきて、“we gotta luv”のイントロはそれのオマージュなんですけど、何の曲か忘れました(笑)。“ppps”もハウスの曲からモチーフを借りてます」(TSUUJII)。

 「ヒップホップのサンプリングみたいな感じですね。“we gotta luv”は結成当初からやってるし、“ppps”はメロディーの単純な感じがすげぇノレるから、ライヴでも演奏し続けてる。前からやりたいと思ってたことですけど、ワンコードでずっと行くとか、コード進行は変わらずにメロディーが変わっていくとか、“we gotta luv”はそういう曲だし、“sugar”“wake me up”もそう。思わず踊りたくなる昂揚感がキーワードになってる気がする」(MELTEN)。