昨年にデビュー20周年を迎え新たな一歩を踏み出さんとする彼女が最初に選んだのは、正にそれに相応しいプログラムだ。バッハの無伴奏ヴァイオリン曲集よりソナタとパルティータ。記念すべきデビュー盤では披露されなかったもう3曲《ソナタ第1番》《ソナタ第2番》《パルティータ第1番》が収められ20年越しで全6曲が揃うというファンには堪らない演出というわけだ。今やシャコンヌの決定盤の名高いデビュー盤と対を成すも、ヒラリー・ハーンの持ち味である繊細さと力強さが(無伴奏が故に)圧倒的に映え勝るとも劣らない名盤に仕上がっている。