『シルフラ』『27の小品』など冒険的な作品から一変。2010年のチャイコフスキー以来となる“協奏曲”の録音が登場。現在最高のマエストロの呼び声高いパーヴォ・ヤルヴィ指揮の下、ヴュータンの第4番とモーツァルトの第5番《トルコ風》を熱演。どちらも伝統的なヴァイオリン協奏曲であり原点回帰のような選曲かと思いきや、相変わらずの鮮烈な演奏は勢いを増すばかり。モーツァルトは『ソナタ選集(2005)』でも魅せた力強い軽やかさが冴え渡り、ヴュータンでは熱っぽさも技巧も見事に共存している。自らの一部だと語り愛奏してきた2曲なだけに覇気が違う、正に彼女の“ソウル”がつまった名演の誕生だ。