語弊を恐れずに言えば、ミューズ史上もっとも身軽なポップ・アルバムとなったのが本作だ。過去数枚の重厚なコンセプト作品から大胆に方向転換し、楽曲単位で自由な発想を走らせた結果、トラップやR&B、ファンクを貪欲に取り込んだリズムの強化や、分厚いギター・リフをシンセのレイヤーで代替するなど、ギター・ロックの枷を取り払ってモダン・ポップに最適化した〈ミューズ2.0〉とでも呼ぶべき新境地に到達している。強迫観念から解放されたことで、むしろギター自体もこれまで以上の飛躍と逸脱が可能になっている。TVドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」で知られるアーティストが手掛けたジャケや、80年代SF映画のオマージュが満載された一連のMVなど、ヴィジュアルも際立ってポップ!
ミューズ 『Simulation Theory』 ギター・ロックの枷を取り払いモダン・ポップに最適化した〈ミューズ2.0〉
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