〈ドラマティック〉という言葉すら薄く感じる超・劇的なコンセプト・アルバム。本作を元にロック・オペラを作ってほしいくらいだ。2012年の前作はクリスが作曲&歌った曲もあったが、本作は徹頭徹尾マシュー・ベラミー・ワールド。一人の男が抵抗しながらも権力者に洗脳され、その呪縛を解き、そして見たもの……という物語が、背筋の凍るようなインダストリアル風味から、エレクトロ、ハード・ロック、バラード、フォークまでさまざまな手法で綴られていく。マシューの華やかなギター・ソロやピアノが随所に散りばめられる一方、ペダル・スティールなどの楽器も効果的に使われ、ミューズならではの音世界が万華鏡のように展開。歌詞がわからずとも音で伝えきる点も見事だ。まずは聴くべし!