抜群の歌唱力を誇るアーティストとしても知られる人気声優、早見沙織。実に2年半ぶりとなるニュー・アルバム『JUNCTION』は、ヴァラエティに富んだ楽曲たちが織り成すまた新たな早見沙織の音楽世界を見せる一枚となった。そのディープな作品について、アルバム完成直後の彼女は今、何を思うのか――。

早見沙織 JUNCTION ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント(2018)

「今回はタイトルを決めたときに全貌が明確になった気がして。ここの楽曲をまとめて一枚のアルバムにするときに『JUNCTION』というタイトルが出てきたんですね。いろんな方向に走る曲を丸で囲うような場所が欲しくて」

早見沙織2枚目のアルバム『JUNCTION』は、彼女を取り巻くさまざまな音楽が彼女に向かって合流していくような、まるで早見沙織の音楽のひとつの集大成を見るような作品となった。竹内まりやが提供した“夢の果てまで”、“新しい朝”や、オーセンティックなソウルの“Jewelry”、ほかにもオルタナやポスト・ロックなど卓越した歌唱力でもって、彼女流に表現しきった一枚とも言える。しかも全14曲中10曲が、彼女作詞作曲で作られているのだから驚きだ。

「デビュー当時から曲は書いていますけど、最近デモで弾いているピアノが上達したって言われたんですね。ただ弾くだけじゃなくて完成をイメージするというか、〈こういうテンション感でいこう〉と伴奏で入れたものが、最終的にアレンジの大きなイメージになっていることが多くなってきました」

声優として、シンガーとして、そしてソングライターとして。各要素が独立するのではなく、それらが合流して生まれた傑作『JUNCTION』。そこで鳴らされた早見沙織という音楽はこの先どこへ向かうのだろう?

「ひとつが終わったけど自分のなかでは全然終わってないというか、いつもそうかもしれません。今もライヴどうしようかな……って考えているところです。でも『JUNCTION』というタイトルを思いついたとき、ライヴもこうなってほしいなって考えていたんですね。それ込みでの『JUNCTION』なので、アルバムを聴いて、ぜひライヴも観に来てほしいですね」