日本のポップ・シーン最高のクリエイター、冨田恵一の〈冨田ラボ〉名義の3年振りとなる7枚目のアルバム。そのサウンド、アレンジメントともにウルトラ〈7〉級の、まったくスキのない完成度。祝20周年、J-POP界、声優陣など豪華20名のアーティストが参加。堀込高樹(KIRINJI)作詞の“煙たがられて”には細野晴臣が冨田ラボ作品に初参加、磯野くん(YONA YONA WEEKENDERS)をフィーチャーした2022年最新型シティポップ“君のFlavor”他、リアレンジされた既発曲を含む、日常/非日常の中を夢想する歌詞とアーバンポップ・テイストな楽曲が織りなす冨田ワールド。
約3年ぶりのフル・アルバムは、磯野くん(YONA YONA WEEKENDERS)、AAAMYYY、早見沙織、ぷにぷに電機、Ryohu(KANDYTOWWN)などなど総勢20名を招聘した濃密盤に。近年の2作に続き、現行のジャズやR&Bに触発されたサウンド構築が基軸にあるのは間違いないが、ここでは最前線のビートや音像を取り込む実験の痕跡は前景化しておらず、シームレスに諸要素が溶け込んだ、それゆえにより未来的にも感じられるポップスが産み落とされている。メイン・ヴォーカルに細野晴臣を迎えた“煙たがられて”の鷹揚なアンサンブルがそんな本作を象徴しているように感じられた。一方で、藤巻亮太のヴォーカルをスクリュー的に調理してしまうような驚きのアプローチも健在。やはり一筋縄ではいかない20周年作品だ。