INTERVIEW

キャサリン・ジェンキンス『光に導かれて~ガイディング・ライト』 子供たちとともに、音楽に平和の願いや祈りを込めて

©venni

 

子供たちとともに、音楽に平和の願いや祈りを込めて

 「いつかスピリチュアルなアルバムを作りたい」。メゾソプラノ歌手キャサリン・ジェンキンスは、この願いを新作『光に導かれて~ガイディング・ライト』で叶えた。制作は、第二子妊娠中から始まったという。

KATHERINE JENKINS 光に導かれて〜ガイディング・ライト ユニバーサル(2019)

 「妊娠したことで、家にいる時間が増えたので、プロデューサーのパトリックとじっくりアイディアを練り、コンセプトを掘り下げて深めることが出来た。そのなかで“親密感”を音楽で表現したいと思ったの」

 それがサウンドやナチュラルな発声のヴォーカルに表れていて、これまでの作品のような壮大なオーケストラではなく、ピアノの伴奏から歌い始める曲が多く、歌声からは愛情に満ちた慈しみが感じられる。その新鮮に響く優しい歌声は、「自分の中にある静かで、ピースフルな声を探すことで見つけられた」と言う。

 今回も選曲は幅広く、故郷ウェールズの歌や讃美歌、ミュージカルの劇中歌、そして自作曲もある。

 「讃美歌の《平和への祈り》が選曲の道標となり、平和や祈りという選曲の方向性が明確になっていったの。ウェールズの歌は、私の大切なアイデンティティ。今回は非公式の国歌と呼ばれる《ウェールズのための祈り(フィンランディア)》などを選んでいるわ」

 15曲の中で異色の存在が2曲。ひとつは映画『グレイテスト・ショーマン』の劇中歌で、娘さんの好きな曲《ネヴァー・イナフ》。もうひとつはUKのラッパー、ストームジーの曲《あなたの愛に目が眩む》だ。

 「《あなたの愛に目が眩む》は、UKで有名な曲。私も知っていたけれど、ストームジーが信仰心の厚い人と聞いてから改めて歌詞と向き合ったところ、私なりの解釈が生まれ、ぜひ歌いたいと思った。ただ、アレンジはオリジナルとは異なり、独自のアレンジにかなり試行錯誤したけれど、6名の子供にも参加してもらい、それぞれの母国語でタイトルを言ってもらったのよ。音楽は国境を超えられる、という思いを込めてね」

 参加6名のうち、英語を担当したのはお嬢さん。そして、唯一の自作曲《ザンダーの歌》は、レコーディング前に生まれた息子さんのために作った子守歌だ。

 「アルバムの制作が終わりかけた頃に急遽収録を決めた曲で、腕に抱いた息子のために歌っていた子守歌なの。スタジオでは涙声になってしまい、何度も何度もレコーディングをやり直すことになったわ(笑)」

 タイトル『光に導かれて~ガイディング・ライト』にはいくつもの意味が込められていて、その中には「15歳で亡くなった父が私の歌のファンで、音楽の道に進めるように導いてくれた」ことへの感謝も含まれている。新作のテーマ“スピリチュアル”の源にあるのは、彼女の家族へのあふれんばかりの愛情のようだ。

関連アーティスト
40周年 プレイリスト
pagetop