行く手に何があろうと革鳴の歌が止むことはない! 新たな個性を加えて走り出した彼女たちが表現する新たな5人の彩り……新体制での第1弾が早くもリリース!
心配しなくていい
今年1月のZepp Tokyo公演に続き、4月28日には自身最大規模となる日比谷野外音楽堂でのワンマンを成功させ、ぜんぶ君のせいだ。(以下、ぜん君。)は着実かつパワフルに歩を進めてきた。この野音はメンバー咎憐无の卒業公演にもなり、4人体制のぜん君。の集大成を観せたと同時に、ファンにとっては今後どうなっていくのかという不安もあっただろう。しかしその後、凪あけぼの、征之丞十五時を加え、7月から29都市31公演の全国ツアー〈CULT CHAOS CUTIE TOUR 2019〉を開始。ぜん君。は、ふたたびフルスロットルで走り出した。
ましろ「5人になって、だいぶ騒がしくなりましたね。心配していた患いさん(ぜん君。ファンの愛称)もいたと思うんです。でもライヴや、新しい音源を聴いてもらえれば安心してくれると思います」
一十三四「ぼの(凪あけぼの)は突飛な子なんですよ。元気なんだけど、その元気の種類もちょっとアブナイほうの元気で(笑)。十五時は十五時でふわふわしていて、普段から本当にイイ感じでぶりっ子。最初はふたりとも緊張していたみたいですけど徐々に素の部分が解放されて、それぞれのキャラクターが出てきましたね」
ふたりの加入からツアーまでの約2か月間を、濃い時間だったと5人は語る。曲を再構築してダンスを身体に入れ込んでいくのはもちろん、これまでの活動でさまざまな経験を重ねて自分たちの道を開拓してきた3人と、心身共に歩調を合わせることは簡単ではない。
凪あけぼの「この人たちって本当にすごいなっていうのが、ライヴごとに伝わってくるんです。だからこそ自分たちも負けちゃいけないし。足を引っ張ってはいけないという焦りもありますけど、いちばんはメンバーのことが大好きだからこそ悲しませたくない。絶対にがんばろうっていう気持ちなんです」
征之丞十五時「十五時はもともとぜん君。のことが大好きだったし、最初はやっぱり女の子のグループということでキラキラした、幻想的なものを感じていたんです。でも実際はけっこう体育会系なんだってギャップありました(笑)。3人に気持ちの面でも、歌もダンスもついていかなきゃという思いで必死でがんばってます」
この5人でしかできない試み
そんな新体制の第1弾リリースとして届いたのが、これぞぜん君。節な〈キミとぼく〉の世界を濃密に描いたニュー・シングル“AntiIyours”だ。疾走感のあるビートと素っ頓狂なヴォーカルでポップにハイパーに聴かせる曲であり、新たな試みも交えて5人の声が鮮やかに活きる出来映えとなった。
一十三四「今回のシングルではユニゾンだけじゃなくハモリを多く入れているんです。十五時の歌声がキーが低かったり、5人の声のキャラがはっきりしているので、この5人でないとできない、新しい試みをしたかったんです」
如月愛海「当初は十五時と愛海の歌が声質的に合わないというのがあって。でもこの曲では、ふたりで歌っているところが入ってるんですよね。一緒に歌うからこそお互いのことを考えるんですよね。相手はこう歌うかなとか自分で考えて歌えるようになったことで、合わないと思っていたものもいい感じにまとまって。歌に厚みや深みを出せるようになったのは、これからの武器になっていくと思います」
歌に奥行きや表情が生まれたからこそ、歌詞も一歩踏み込み、〈キミ〉という存在の放つ光が、自分を肯定する力となって強く進んでいける——そんな思いを訴えるアンセムとなった。
ましろ「いままでは〈キミとぼく〉が共依存的にズブズブな関係だったり、相手にわがままをいっぱいぶつけたりする歌詞が多かったんです。今回もわがままなことに変わりないんですけど、〈キミが一番で、キミがいるからこそ自分が生きられる〉っていう感覚で。こう言うと〈病んでる〉とか〈メンヘラ〉とか言われますけど、誰しも大事に思う相手がいると思うんです」
新メンバーふたりにとって〈キミ〉は新たな居場所となったぜん君。であり、ぜん君。にとっては聴いてくれるあなたが〈キミ〉という存在——“AntiIyours”は、5人の気持ちが織り込まれた、始まりの歌というわけだ。またカップリングには彼女たちの自己紹介ソング“唯君論。”が現体制でアップデートされている。
一十三四「歌割はもちろん、歌詞も変わっているんです。例えば、〈例え何があっても、最後まで言ってやるんだ〉が、今回〈例え何があっても、最後まで立って居るんだ〉に変わっていたり。いまのぜん君。の強い意志を描いた内容に変わっているんです」
シングルと同発の再録アルバム『LIVE or DIE~ちぬいち~』もまた、単なる再録を超え、凛として前を向く現在の5人を刻印したものとなっている。ライヴのセットリストを意識した選曲は、ぜん君。ビギナーにもフレンドリーな一枚となるだろう。
なお、10月にもニュー・シングルと再録アルバムのリリースが発表され、10月19日には〈ぜんぶ君のせいだ。ワンマンLIVE~4周年記念SP~〉開催が決定した。結成当初からのひとつの目標である武道館公演への夢は変わらず、新体制となってなお、オルタナでオリジナルな存在として突き進むぜんぶ君のせいだ。の5人。日増しに進化していく姿を、いま目撃してほしい。
如月愛海「ぜん君。としては4周年ですけど、ぼのと十五時が加入して、最近ぜん君。を知ってくれた人にとっては1年目のようなものなので。この5人でやっていくんだという意思表示にもなる、大事な日になると思います。でもスタートからの4年間、私たちのソウル=魂は変わっていないんです。これまで去っていったメンバーの気持ちもすべて受け継いで、いまのぜん君。は出来上がっているので」
ぜんぶ君のせいだ。の近作。